カギとなるのは「瞬発力」
先週が3歳牝馬と牡馬の三冠最終戦トライアル。今週も菊花賞に向けた神戸新聞杯があり、来週はいよいよ秋最初のG1スプリンターズSがあります。その翌週には毎日王冠、京都大賞典といった古馬G1に向けたトライアルが始まることもあり、栗東でも有力馬が盛りだくさんとなってきました。特に今週の神戸新聞杯はここに4頭を取り上げていますが、これにミッキーロケットを加えた5頭が現時点での本命候補であり、馬券的にもこの5頭で決まると踏んでいます。
問題はサトノダイヤモンドの取り扱い。先週のトライアルでシンハライトとディーマジェスティが単勝1倍台できっちり結果を出したこと、凱旋門賞出走で注目されるマカヒキとダービーでハナ差の接戦を演じたこと。これらの要素がより単勝人気に拍車をかけることになりそうです。
先週、REXS(競馬教室)のパワーアップセミナーで1番人気に関する資料をつくりましたが、単勝1番人気でオッズが1.0〜1.4倍の単勝率は66%で、1.5〜1.9倍の単勝率は46%。もちろん、この数字は高い値ですが、後者のオッズ範囲だと2回に1回は負けるということです。ひょっとしたら「えっ」という瞬発力を見せて差し切り勝ちを見せる馬が現れるのではないかと。これは単なる願望かも知れませんが、21日の最終追い切りを終えた時点ではその可能性を秘めた馬がいることも確かです。
【オールカマー/サトノノブレス】
昨年は10着でしたが、日経新春杯以来の長期休み明け。中間はCWで追い切るものの、6F時計、5F時計が遅く、正直中身がどこまで出来ていたかは疑問な調教内容でした。そこでは結果が出ず、その後は重賞で2勝を挙げているのですから、衰えうんぬんではなく、単に休み明けで仕上がっていなかった負けと判断してよいでしょう。
今年は中間のCWでの追い切りは時計が速く、中身が違います。それが最終追い切りにも表れており、池江泰寿厩舎の「仕上がっている」からこその、CW4Fでの単走追い。このパターンは自身にとって初めてですが、むしろ好走する確率が高いと思います。
今年は中間のCWでの追い切りは時計が速く、中身が違うサトノノブレス(9月21日撮影)
【神戸新聞杯/サトノダイヤモンド】
いろんな報道からあまり状態が芳しくないという先入観を持っていましたが、9月8日のCWでいざ追い切ってみると、全くそんな雰囲気を感じさせない動き。だからこそ、9月15日のCWでも状態の良さそうなサトノノブレス相手に先着できたという感じがします。個人的にはこの時点でトライアル仕様には仕上がったと判断しました。
だからこそのCW4F追い切りでしょう。単走でしたし、前半のペースはかなりゆっくりでしたが、ゴール前の伸びはさすが。好位置につけて直線を向いた時には前を楽に捕まえて、あとは抜け出すだけ。そんなイメージができる最終追い切りだったと思います。あとはこの馬に対抗する瞬発力を持った馬がいるかどうか、それだけでしょう。
トライアル仕様には仕上がったサトノダイヤモンド(9月21日撮影)
【神戸新聞杯/エアスピネル】
個人的に日本ダービーの武豊騎手の騎乗はパーフェクトだと思います。皐月賞にしても不利は受けたものの、そこまでは自分のレースができています。常に実力を発揮できる脚質、そしてジョッキーのエスコートがあれば、ここでも大崩れすることは想像できません。中間の調教量を見ても、休み明けだからといって割り引くこともないでしょう。
ただ、1週前追い切りの動きは道中のラップが少し速かったこともあってか、ラスト1Fがらしくない動き。春のCW追い切りではもっと鋭いラスト1Fの伸びを見せていただけに、トラックだからというわけではないでしょう。量は足りていても、中身がそうでもなかったというのが、この中間追い切りなら、他馬との比較で仕上がり不足は否めません。最終追い切りは得意の坂路でしっかり動けていますが、今回に関しては1週前追い切りの動きで減点評価したいところ。
今回に関しては1週前追い切りの動きで減点評価したいエアスピネル(9月20日撮影)
【神戸新聞杯/ナムラシングン】
皐月賞7着後は春を休養に充てて、夏の小倉芝2000mで復帰して勝利。休み明けでもきっちりと仕上げてきたことが強いレースぶりにつながったように思います。この中間も早目から調教を開始しており、順調な仕上がりを見せています。
そして、21日の最終追い切り。1週前と同じエイユービリオネアを追走する内容。3馬身ほど追走していましたが、ダイナミックなフットワークで前との差を詰めると、最後は止まる相手をあっさりと置き去りにして、悠々と先着。時計は4F53.3〜3F38.6〜2F24.8〜1F12.2秒と前走時とほぼ同じ数字。サトノダイヤモンドには2歳500万下で完敗していますが、当時は内回りなので、外回りの今回は瞬発力で逆転できる可能性を秘めていると思います。
外回りの今回は瞬発力で逆転できる可能性を秘めているナムラシングン(9月20日撮影)
【神戸新聞杯/レッドエルディスト】
京都で未勝利を勝っているとはいえ、左回り巧者のイメージが強い馬でした。しかし、エアスピネルとの1週前追い切り、右回りのCWで抜群の動きを披露。ここで私自身のイメージが変わりましたし、秋になってからの同馬の成長も感じることができました。
最終追い切りは坂路でしたが、自己ベストが4F52.9秒と速い時計が出るタイプではありません。よって、4F53.8秒が遅いということはありませんし、きっちりラスト1Fが最速になるラップを踏めたことを評価したいところ。スタートが速い馬ではないだけに、前半の位置取りが最終的な着順に影響する可能性はありますが、おにぎり型で最後の直線が長い阪神芝外回りなら、過去最高のパフォーマンスを見せる可能性はあるはず。
過去最高のパフォーマンスを見せる可能性はあるレッドエルディスト(9月20日撮影)
◆次走要注意
・9/18 セントライト記念【ノーブルマーズ】(8人/5着)
坂路調教馬にとっては適性不利な条件で先行して5着。きっちり能力のあるところを見せてくれたレース内容です。
同じ走りで京都芝外回りあたりに出走してくれば、1000万下の自己条件はすぐに勝ち上がれるでしょう。
[メモ登録用コメント] [京都芝外回り]最終追い切り坂路でラスト1F最速なら勝ち負け
・9/18 ローズS【レッドアヴァンセ】(4人/8着)
馬体重の18キロ増は予定通りですが、一気に増えすぎた感もあるのかも知れません。次走に向けて、手加減ない追い切りができれば、得意の京都競馬場で着順を一変させることができそうです。
[メモ登録用コメント] [秋華賞]最終追い切り坂路でラスト1F最速なら勝ち負け
◆今週の追い切り特報
・2歳新馬【コーカス】
21日の追い切りはCWでしたが、岡田祥嗣騎手が跨って、5Fからの併せ馬。悪い馬場状態を考慮して、内を回る内容でしたが、3F時計が速く、追われてからしっかりしていました。もちろん先着する内容でしたし、砂を被って嫌がるといったことがなければ、レースでも結果を出してくれそうです。
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