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JBCへの優先出走権

  • 2016年09月30日(金) 18時00分


◆4戦というのは少ないのでは

 11月3日のJBCに向け、Road to JBC全4戦のうち3戦が終了した。

 近年、それら前哨戦はわりと堅く収まって、本番が意外な結果になるという印象だったので、馬券的にそういう狙いにしたところ、レディスプレリュード、東京盃は思いっきりハズされた。そして一転、日本テレビ盃はJRAの人気3頭での決着。まあ、それはそれで競馬なのだからおもしろい。

 ところで以前から思っていたのだが、JBC本番の3レースに対して、勝ち馬に優先出走権が与えられるレースが4戦というのは少ないのではないか。南部杯の勝ち馬には、JBCスプリント、JBCクラシックのどちらにも優先出走権が与えられるが、当然どちらかにしか出走できない。それゆえ、JBCスプリントへの優先出走枠は東京盃と南部杯からの1.5、JBCクラシックへは日本テレビ盃と南部杯からの1.5、JBCレディスクラシックへはレディスプレリュードからの1となっている。

 JBCへ向けてということでは、Road to JBCのほかに、各地の地方重賞が『JBC指定競走』として9レースが指定されている。とはいえその勝ち馬に優先出走権が与えられるわけではなく、出走馬選定の際に参考とされる程度。地方所属馬の選定では、JBC各レースに対して「選定日におけるレーティング上位馬2頭」がまず選定され、次に優先されるのはグレード重賞の勝ち馬、もしくは2、3着馬。JBC指定競走勝ち馬の位置付けはその下となっている。

 実際に昨年、JBC指定競走の勝ち馬9頭のうち、JBCの本番に出走したのはわずか2頭。現状、中央と地方で実力の開きが大きいということもあるが、JBC指定競走は機能しているとは言い難い。

 JBCに向けては、それぞれ2レースくらいずつ優先出走権が与えられるレースがあってもいいのではないだろうか。

 開催日程的なことでは、9月の浦和・オーバルスプリント(JBCスプリントへ)、10月の金沢・白山大賞典(JBCクラシックへ)が有力となろう。仮に両レースの勝ち馬が、直後のJBCで除外されることがあれば、「え?出られないの?」という印象を受けるだろう。

 距離面での整合性もある。現状、JBCスプリントへの出走権が与えられるのは、1200mの東京盃と1600mの南部杯。過去15回のJBCで、スプリントはその1/3にあたる5回で1400mが舞台となっている(今年の川崎で6回目)。オーバルスプリントは、まさにその1400m。

 そして2000mが基本とされるJBCクラシックへの優先出走権が与えられるレースは、現状では1600mの南部杯と1800mの日本テレビ盃だけ。ならば2100mの白山大賞典が加えられる理由はおおいにある。実際これまで川崎および金沢でJBCが行われた計3回、JBCクラシックは2100mで争われている(今年の川崎で4回目)。

 またJBCレディスクラシックへ向けてということでは、牝馬限定のダート重賞をレディスプレリュードと同じような時期に新設(または条件変更)するのは現実的でないため、南部杯、日本テレビ盃、さらにはオーバルスプリント、白山大賞典で、牝馬が勝った場合に限って優先出走権を与えるということが考えられる。

 一方、優先出走権のある前哨戦を増やすことで考えられる問題点は、前哨戦でフロック的な勝ち方をした馬が本番に出られることによって、とくに中央所属馬では実績馬に除外の可能性が高くなるということ。これについては、中央枠、地方枠とは別に、独立した形で優先出走枠を設けるということが考えられる。中央勢が圧倒的に強い現状では、事実上中央馬の出走頭数が増えることになるのだが、レース全体のレベルを上げる、馬券的な興味を増す、などの観点では、それもアリなのではないだろうか。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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