昨年はホッカイドウ所属馬がワンツー!
10月13日(木)、門別競馬場で行われる2歳牝馬限定重賞『第19回エーデルワイス賞』。今年の2歳世代の最初のダートグレード競走です。
ちなみにホッカイドウ競馬の2歳重賞は栄冠賞からスタート。ブリーダーズゴールドジュニアC、北海道2歳優駿と続く牡馬牝馬混合の2歳3冠競走を中心とした重賞体系があり、さらに牝馬のためにフルールC、リリーC、フローラルC、エーデルワイス賞、ブロッサムCと、限定重賞も充実しています。
2012年に冬季も利用可能な室内調教用坂路コースが新設され所属馬たちの実力が底上げされました。充実した2歳重賞の数々は、近年ホッカイドウ競馬から多くの活躍馬を輩出している原動力になっていると考えられます。中でも昨年のエーデルワイス賞の上位馬はその象徴的な存在。記憶に新しい昨年のレースを振り返りましょう。
エーデルワイス賞は過去18回のうちJRA9勝に対して、地方勢も9勝と互角の成績で、ダートグレード競走の中でも地方馬の活躍が光ります。9勝の内訳はホッカイドウ所属馬7勝、佐賀1勝、岩手1勝。昨年のエーデルワイス賞はホッカイドウ所属のタイニーダンサー、モダンウーマンが1、2着となり、2012年のハニーパイ、ピッチシフター以来となる地元勢のワンツーという結果になりました。
タイニーダンサーは牝馬ながら栄冠賞を圧勝。リリーCは3着に敗れたものの、フローラルCでは2着に2.5秒もの大差をつけ楽勝という戦歴。一方のモダンウーマンは栄冠賞ではタイニーダンサーの2着、フルールC 1着、リリーCではタイニーダンサーを破って1着と、この2頭に注目が集まっていました。
▲栄冠賞を圧勝したタイニーダンサー、次走ではJRAの函館2歳S(GIII)にも挑戦し4着(撮影:田中哲実)
迎えたレース当日、1番人気は新潟の新馬戦を勝ったばかりのチェストケリリー(JRA)。2番人気タイニーダンサー、3番人気モダンウーマンと続きます。スタートの上手いモダンウーマンがスーッとハナに立ち、タイニーダンサーは馬群の中団から最内を進み、チェストケリリーは出遅れて後方から。
逃げたモダンウーマンが先頭のまま直線に入ると、タイニーダンサーは内からコースの中央に進路を変え、鞍上・桑村真明騎手のアクションに応えてグングンと伸び、モダンウーマンを2馬身交わしてゴール! さらに2馬身差の3着はディーズプラネット(JRA)。チェストケリリーは最後脚を伸ばしましたが5着という結果でした。
タイニーダンサーとモダンウーマンはともに角川秀樹厩舎所属。どちらも生産・馬主ともに北海道・新ひだか町のグランド牧場(ちなみに2012年のハニーパイ、ピッチシフターもグランド牧場のワンツー)という快挙。3着のディーズプラネットもグランド牧場生産馬で、「グランド牧場ここにあり」と地方競馬にその名を改めて刻みました。
2頭のその後の活躍はご存知の通り。タイニーダンサーは続く北海道2歳優駿も勝利。今年3歳になってJRAに移籍後、3戦目で関東オークスを制しダートグレード競走3勝目を挙げました。その後は古馬に混じって勝ち切れないレースが続いていますが、ホワイトフーガやアムールブリエを相手に上位争いを続け、今後の成長が楽しみな存在です。
2着モダンウーマンはエーデルワイス賞のあと川崎のローレル賞1着。その後、川崎に移籍し、東京2歳優駿牝馬、ユングフラウ賞、浦和桜花賞と地方重賞4連勝を飾る大活躍。東京プリンセス賞3着のあとは東京ダービーに出走し、牡馬に混じって6着と健闘しました。
2戦2勝のリエノテソーロ、血統的にはダート向きか
今年も角川秀樹厩舎所属馬、そしてグランド牧場生産馬が出走予定。地元勢が活躍するのか?! 今年はJRA勢が上位に来るのか?! 注目馬をご紹介しましょう。
JRAからは新馬戦、すずらん賞(札幌・OP)と芝で2戦2勝のリエノテソーロ。2戦ともすんなりと先行し、勝負どころで脚を使えるレース巧者。すずらん賞で2着の牡馬・タイムトリップはその後カンナS(中山・OP)を制し、今後は芝の重賞戦線に向かう予定とのことで、レースレベルが高かったことを証明しています。初のダート戦になりますが、血統的にはむしろダートの方が向いているかもしれません。
JRA勢で唯一、ダートで勝ち鞍があるのがアイルキャッチユー。7月の新馬戦、福島のダート1150m戦は芝からのスタート。レースではダート部分に入ってから行き脚がついて先頭に立ち、そのまま逃げ切ってゴール。新種牡馬アイルハヴアナザー産駒で、母父ディープインパクト!! デビュー2戦目ですが、ダートからのスタートのコースで、すんなり前へ行ければ楽しみな存在。
注目のホッカイドウ勢からはリリーCの上位組を。
勝ったハタノオヌールは好スタートから内で控える競馬。直線では先頭に立ったアップトゥユーを捕らえ、外から追い込んできたシェアハッピーの追撃を抑えての勝利。アタマ差競り勝った勝負根性は光るものがあります。そしてもちろん最後まで首の上げ下げの接戦を演じた2着シェアハッピーにも注目。
リリーC 3着のアップトゥユーと、フローラルCを勝ったオーブスプリング、連勝中のポリカの3頭を出走させる角川秀樹厩舎は、過去10年でこのレースを4勝(2008年アンペア、2009年オノユウ、2012年ハニーパイ、2015年タイニーダンサー)。特にアップトゥユーは昨年のタイニーダンサーと同じく生産・馬主ともにグランド牧場。今年もまた有力馬を送り込みます。
もう一頭のグランド牧場生産馬はピンクドッグウッド。8月のフルールCを制し、リリーCは4着でしたが、ハタノオヌール、アップトゥユーと同じサウスヴィグラス産駒。昨年のタイニーダンサー、モダンウーマンもサウスヴィグラス産駒。このレースと好相性の血統背景も魅力です。
▲フルールCを制したピンクドッグウッド、血統背景も魅力(撮影:田中哲実)
馬産地にある競馬場、門別競馬場で行なわれる2歳牝馬のダートグレード競走。今後のホッカイドウ競馬の2歳戦線はもちろん、全日本2歳優駿を頂点とした南関東競馬の2歳重賞戦線、さらに来年のクラシックへも繋がっていく重要な一戦です。先々のレースを見据える意味でもお見逃しなくご覧ください!
※次回の更新は10月31日(月)の18時。門別競馬場で行われる「北海道2歳優駿」のコラムをお届けします!
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中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。