3冠全て2着… ヴィルシーナの悲運を妹ヴィブロスが晴らす/トレセン発秘話
◆春とは別馬のようにたくましくなっている
競馬にアクシデントや不利はつきもの。だからこそ「“if”は禁物」なのだが、もし、あの不利がなければ…とイマジネーションを働かせてしまうことは、この世界に関わる人間には避けられないことのようだ。
「もし、あの不利がなかったら? 勝っていたんじゃないかって、自分では思いたいですけどね」と話すのは紫苑Sで道中、致命的な不利を受けながらも、2着に追い込んだヴィブロスの安田助手だ。そこにあるのは担当馬への愛情? いや、そればかりとは限らない。
「勝った馬(ビッシュ)は確かに強かったけど、不利を受けた後、ジョッキー(福永)は馬が無事かを確認してから追い出しましたからね。それが2〜3完歩のことでも、時計にすれば結構なロス。やっぱり、まともだったら…という気がするんです」
3角で前の馬が下がってきたことで急ブレーキをかけ、落馬寸前の不利を受けたヴィブロス。レース後には外傷、打撲の症状も見られたというから、相当大きな不利だった。そんなアクシデントがありながら、へこたれることなく、外めから盛り返していった姿は、とても414キロの小兵とは思えないもの。
「まともなら勝っていたかどうか…」はもちろん気になるところではあるが、それより重要なのはヴィブロスという馬が、あれだけの不利をはね返して2着に入るほど、春とは別馬のようにたくましくなっているという“事実”だ。
「姉のヴィルシーナは放牧を経るごとに成長していきましたけど、ヴィブロスの場合は、この夏の放牧で一気に馬が良くなりましたね。幸い打撲の症状はうまくケアできたし、あれだけの不利を受けたので左右のバランスが崩れていないかも心配だったんですが、それも大丈夫でした。この中間はカイバもさらに食べるようになっているくらいで、細くなった感じもないですね」
ここまで聞けば、もう安心だろう。姉のヴィルシーナはジェンティルドンナという大き過ぎる壁が存在したがために、牝馬3冠オール2着に終わる非運に泣いたが、その悔しさを妹が晴らす…これこそが坂路野郎にとっての秋華賞のベストストーリーだ。(栗東の坂路野郎・高岡功)
※【お知らせ】
毎週水曜日に公開しております「東スポ×netkeibaコラボコーナー(水)/吉田竜作マル秘週報」は、東京スポーツ紙面発行の都合により10月13日(木)の公開とさせていただきます。何卒ご了承くださいますようよろしくお願い申し上げます。