人と馬、そのバランスがどうであるかは、大レースになるほど大きな意味を持つことになります。人3馬7、これが昔から言われているバランスですが、G1になれば、それが人5馬5になり、騎手の比重が増します。
秋のG1戦をここまで見ると、スプリンターズSと秋華賞の1、2着馬は、お手馬にしてきた騎手がそのまま騎乗していたのに対し、菊花賞と天皇賞は、いわゆる乗り替わった騎手が1、2着を占めていました。その辺の事情をどう読み取るか、残る秋のG1作戦を立てる上で大きな要素と言えるでしょう。
特に短期免許を取得して騎乗する外国人騎手が増えてくると、大一番を前に乗り替わるケースが出て来て、それをどう判断するかがレース検討のテーマになります。
それが顕著だったのが秋の天皇賞で、ゼンノロブロイがペリエ騎手で勝ち、2着のダンスインザムードがルメール騎手で、いずれも前走からの乗り替わりでした。武豊騎手がアドマイヤグルーヴに騎乗したことが大きかったとは思いますが、この流れは、これからのG1戦でも見られること必至です。
地方競馬からの騎手の参戦も、重要視されます。菊花賞馬デルタブルースの岩田騎手は、人気薄のこの馬を渾身の手綱で勝利に導きました。3000mという各馬にとり未経験の状況に、何か新たな力をという読みがピタリあてはまったのですが、2着ホオキパウェーブの横山典騎手への乗り替わりも注目すべきだったのでしょう。
G1戦といえば必ず手綱の選択に関心が寄せられる武豊、安藤勝の両騎手。彼等が騎乗する馬の取捨と乗り替わった馬の取捨、どうやら、この流れは今後も続いていくことになりそうです。
騎手は、特にG1戦に出場することを目標にしています。めぐって来たチャンスを最大限に生かして自らの存在を示そうと燃えています。好プレイはそこから生まれるのです。