この2200m距離は極めて特殊で、ありそうで滅多にない。昨年のエリザベス女王杯に出走した馬以外は、ほとんどこの距離の記録を持っていない。1800mや2000mとほとんど同じと考える陣営もあれば、2400mに近い長丁場の感覚を持つ騎手や調教師もいる。
従って、各年のペースも全くバラバラで前半1000m通過が62秒台も、58秒前後もあったりする。牝馬特有の切れを持つ馬が、だいたいはエース格であることが多いから、差し馬が毎年連対しているパターンが多いが、ペース(流れ)を読むのは重要。今年はほとんどの人気馬が差し馬。さらに難しいのは、3歳のスイープトウショウは、“スロー”の時に台頭する切れる馬だったりすること。
メイショウバトラーの逃げを、オースミハルカが前走捕まえたということがポイント。潰しに出る必要もなく、また両馬とも2200mには全く良績がない。昨年とは一転してスローになる危険はある。展開面に注目するなら、まずメイショウバトラー、オースミハルカは有力馬に入れ、差し馬では後方にいるスイープトウショウが楽に追走出来たりする可能性が高くなる。
公営の騎手や外国人騎手は勝ちに出る形を取る。これにスティルインラブが能力上位を信じて早めに動くようだと、前半はスローでも底力のレースになる。厳しい流れ(早めに動く馬が多い)とみて、格は下でもスタミナ十分、底力を秘めるエルノヴァから入る。
追い通しでも伸びるのは、重賞初挑戦となった8月のクイーンS・2着が示す通り、3角からD.ホワイト騎手が追い通しで、距離不足の1800mでも、あと一歩でオースミハルカを交わせそうなゴール前だった。母の兄ジェネラスも、母の全妹イマジンも、英クラシック(芝2400m)の勝ち馬。サドラーズウェルズで、マスターダービー、タルヤー…が配される母系は、明らかに中〜長距離型。このエルノヴァ、勝ち味に遅いというより、2000m以上でこその中〜長距離型。従って、本格化が遅れたもので、芝2000m以上ではまず凡走はない。O.ペリエ騎手が誰をマークするかだが、力と力の対決(底力の勝負)になればこの馬だ。