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武豊を背に、エイシンヒカリの追い切りは!? 最終CHECK!

  • 2016年10月26日(水) 18時00分


一週前は行きたがるところを見せたが……

 今週は天皇賞・秋。週明けには川崎競馬場で行われるJBCが控えており、11月に入れば、12月なんて、もう目の前。その間には京王杯2歳Sやデイリー杯2歳Sがあって、あっという間に2歳G1が始まってしまうのでしょうね。本当にこの世界で仕事をさせてもらっていると、1週間のスピードが猛烈ですが、特にこの時期はどんな時間帯でもG1に出走しようかという馬が追い切りを行っています。

 本日最も注目を集めたのは、エイシンヒカリの追い切り。Eコース脇にある撮影場所には人だかりができていました。競馬が注目を浴びることはありがたいことなので、もっともっとたくさんのメディアに取材してもらえるようになればよいなあと思います。私の役目は初めて競馬を見て、馬券を買おうと思う人に少しでも役に立つ予想をすること。

 でも今週の天皇賞・秋は一番それが難しいかも知れません。というのも、出走メンバーが混戦すぎます。また、状態が素晴らしい馬も多く、簡単に本命を決めることができません。と言いつつ、心の中ではすでに◎が決まり気味ですが、とにかく中間の追い切りも含めた最終追い切りまでの過程をまとめてみましょう。

【天皇賞・秋/エイシンヒカリ】

 8月には栗東へ帰厩して、徐々に調教のピッチを上げていく形。海外帰りですが、そんなことを感じさせない時間に余裕を持った調整は本当に好感が持てます。だからといって調教をやりすぎるわけではなく、追い切り本数は適度。このあたりはさすが沈着冷静な坂口正則調教師といった感じ。

 1週前追い切りは武豊騎手を背に行きたがるところを見せて、猛烈に速い6F時計をマーク。しかし、ラスト1Fは失速する内容でこれには担当者も苦笑い。しかし、これは昨年の毎日王冠と同じパターンだったので、最終追い切りで終いの動きがしっかりすれば、と思っていました。すると時計は想像通り、6F78.6〜5F64.4〜4F50.5〜3F36.8〜1F12.5秒。これなら昨年の毎日王冠と同じ状態と判断できますから、これでどこまでの結果を残すことができるか。そこに尽きると思います。

エイシンヒカリ(10月26日撮影)

時間に余裕を持った調整は本当に好感が持てるエイシンヒカリ(10月26日撮影)



【天皇賞・秋/アンビシャス】

 前走時は中間の追い切りで誤算があっての仕上げ。これは音無秀孝調教師も口にしています。それでも2着は能力の高さとC.ルメール騎手との相性の良さ。今回の方が順調だということは明白ですし、馬体の迫力も前走以上であることは間違いありません。

 ただ、気になっていたのはテンション。25日に坂路馬場をキャンターで駆け上がってくる様子を見ても、かなり気持ちが乗っていて、止める際に首を振るシーン。追い切り前からここまで高いテンションで大丈夫なのかな?と思っていましたが、最終追い切りが4F53.8秒。前半が遅かった分、全体時計が遅いと思いますが、だったら、その分後半2Fの時計がもう少し速くていいような気もします。前走時を低評価にしてしまっただけに、大きなことは言えませんが、昨年は本命を打った馬だけに、今年はなんだか物足りなさを感じてしまいます。

アンビシャス(10月25日撮影)

今年は物足りなさを感じてしまうアンビシャス(10月25日撮影)



【天皇賞・秋/ステファノス】

 毎日王冠は昨年と違うと信じて本命。内を突くレースで本領を発揮できず、果たして、本当に状態が良かったのか、やっぱりG1に向けてトライアルの仕上げだったのではないのか。結果だけを見ると、後者だと思われる方が大半でしょうが、藤原英昭調教師に前走のレース内容を語ってもらったことや自分の眼で判断できる前走後の状態から、やっぱり今年のステファノスは違うと思います。

 前走が素晴らしかっただけに、今回の最終追い切りは前走から大きく上積みがあるという印象は受けません。でも1週前追い切りでは気持ちが前向きなのに安定した走りが印象的でしたし、最終追い切りも昨年と同じく古馬1600万下を追走して一杯に追われて先着する内容。能力を発揮できなかった前走では見せることができなかった新しいステファノスの走りを見せてほしいものです。

アンビシャス(10月26日撮影)

前走後の状態から、やっぱり今年は違うステファノス(10月26日撮影)



【天皇賞・秋/ラブリーデイ】

 昨年と同じ京都大賞典からのローテーション。その京都大賞典は昨年と違って、余裕残しの仕上げだったと思うだけに、3着という結果は決して悲観する内容ではないと思っています。ただ、これが年齢的なものなのか、仕上げ的なものなのか。ここは判断の分かれるところでしょうね。

 1週前追い切りがCWというのは昨年とは違うパターン。それだけ今年は負荷をかけているということ。最終追い切りも併せ馬でしたが、一杯に追われてきっちり先着。勝った昨年と違うパターンであることは間違いありませんが、それは京都大賞典から違っているので、マイナス材料にはならないはず。個人的には年齢的な衰えはないと思っていますし、むしろ今はこの距離でなければ好勝負はできないでしょうから、メイチの仕上げだと思います。

ラブリーデイ(10月25日撮影)

ラブリーデイはメイチの仕上げ(10月25日撮影)



【天皇賞・秋/リアルスティール】

 毎日王冠を回避。その週の坂路で一番時計をマークしながら、出走しなかったというところをどのように解釈すべきなのか。ここが難しいところですが、個人的には前走の負けが尾を引くような結果にしたくない。だから中途半端な状態では出走させることができないというところがあったのかも知れません。

 ひょっとすると、坂路で時計が出すぎたことを懸念したのかも知れません。安田記念の時は最終追い切りで一杯に追って、4F時計の自己ベストをマーク。一番時計が同じ結果を招くという感じでしょうか。今回の最終追い切りは馬なりで坂路4F53.8秒。菊花賞はこんな時計で2着好走ですから、決して悪くないと思いますが、当時は神戸新聞杯を一度叩いての追い切り。その違いをどう判断するかでしょう。ちなみに画像はCWでの1週前追い切りですが、ここで併せ馬先着というのは、過去の好走時と同じパターンです。

リアルスティール(10月19日撮影)

過去の好走時と同じパターンのリアルスティール(10月19日撮影)



◆次走要注意

・10/22 アイビーS【ペルシアンナイト】(1人/2着)

 ソウルスターリングが強かったことは紛れもない事実ですが、出負けして道中行きたがったこちらも課題を克服できれば、もっと高いパフォーマンスを出せる馬。
 今回で東京競馬場を経験できたことは今後にプラスだと思いますし、この一戦で見限ることができない素質馬であることは間違いありません。

[メモ登録用コメント] [芝中距離]トラックのダブル最速に該当すれば勝ち負け

・10/23 2歳新馬【ロジブリランテ】(1人/4着)

 馬体は勝ったジョーストリクトリと遜色ない、というよりもこちらの方が上といってもよいくらいの素晴らしいものを持っています。ただ、パドックでも周りを気にするところがあったので、レースでは内枠が仇になりました。
 この距離なら坂路を併用することがベストでしょうし、トラックオンリーならマイルに距離を延長した方が結果が出ると思います。

[メモ登録用コメント] [マイル]最終追い切りでラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・2歳500万下【アットザトップ】
 半姉ベルカントの引退レースとなったスプリンターズSと同じ日にデビュー。きっちり勝利を決めましたが、角田晃一調教師もまだ半信半疑なところがありました。しかし先週の時点で「1回使って、良くなりましたね」とひと叩きの手応えを教えてくれました。
 そして、26日の最終追い切り。走りにくそうな馬場が荒れた時間帯でラスト1Fが最速になるラップ。前走のゴール前でもステッキが入ってきっちり伸びていましたが、坂路でこのラップを踏めるということは、もう一段階ギアが上がるかも知れません。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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