3頭出し友道厩舎の本丸はシュヴァルではなくヴォルシェーブ/トレセン発秘話
◆「一戦一戦が勝負」
凱旋門賞でオブライエン厩舎が3頭出しを敢行し、見事1-3着を独占したことに関連づけて、友道厩舎でマカヒキを担当する大江助手がこう言った。
「今度はウチの厩舎がオブライエンのところみたいにチームプレーでいくかもしれませんよ(笑い)」
アルゼンチン共和国杯での「友道厩舎3頭出し」を、凱旋門賞の「チーム・オブライエン」に掛けたわけだ。
もちろん、レース内の“アシスト”という意味での「チームプレー」は冗談なのだが、3頭でスクラムを組んでレースを狙うという意味では確かに「チームプレー」で臨む一戦に変わりはない。単純に考えても、登録18頭中3頭を送り込む厩舎なのだから、この友道厩舎の取捨がアルゼンチン共和国杯のキーポイントと言っていい。
3頭のうち、最も注目を集めるであろうシュヴァルグランは、そもそも京都大賞典での秋始動が当初のプラン。「宝塚記念(9着)の疲れが残っていたので、ここまで待った」(友道調教師)経緯がある。付け加えると、シュヴァルグランの狙いはこの後に控えるジャパンC、有馬記念。だからこそトレーナーも「まずは次につながる競馬を」となるわけだ。
条件がベストなのは当舞台の13年目黒記念1着&12年AR共和国杯2着の実績がある古豪ムスカテールだが、こちらは8歳。さすがに年齢的な上積みは見込みづらい。
となれば、本命は“第三の男”ヴォルシェーブで間違いないのでは。こちらは過去に重度の屈腱炎を患ったこともあって「一戦一戦が勝負」(友道師)と常に全力投球なうえに、昇級戦だけにハンデも55キロにとどまった。なおかつ14年神戸新聞杯5着などから、ポテンシャルも重賞に届くレベルにあるのだから、最も期待をかけられる存在としていいだろう。
現在6頭いる現役所有馬のうち、実に4頭がオープンに在籍。しかも秋華賞ではヴィブロスが優勝するなど、ハンパない勢いの“大魔神”佐々木主浩オーナーが期待するのもシュヴァルグランよりこちら? ともかく坂路野郎の読みでは“友道ジェットストリームアタック”の本丸はヴォルシェーブでほぼ決まりだ。 (栗東の坂路野郎・高岡功)