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ミスエルテが朝日杯FSを勝てば「最優秀2歳牝馬」はどうなる?/吉田竜作マル秘週報

  • 2016年11月23日(水) 18時00分


◆熱い少女たちの師走の走りが今から楽しみ

 先週金曜にトレセンを駆け巡った話題がミスエルテ(池江)の朝日杯FS挑戦。2歳女王決定戦・阪神JF(12月11日=阪神芝外1600メートル)の1週後で、舞台は同じ。調整が遅れていることもあり、「朝日杯なら間に合う」と判断されたようだが、それだけが本音ではあるまい。「牡馬相手でも」という自信がベースには当然あるのだろう。これでソウルスターリング(藤沢和)との「フランケル産駒対決」は来春に持ち越しになりそうだが、別の盛り上がる話題を提供してくれたのは間違いない。

 一番面白くなったのが“賞レース”。仮にミスエルテが朝日杯FSで牡馬を一蹴するようだと、同世代の牡馬にJRAのGIウイナーは存在しないことになる。となると、暮れのGIIホープフルS(12月25日=中山芝内2000メートル)の結果が反映されることになるのか。

 一方で、牝馬は2頭のJRA・GIウイナーが並び立つことになる。この場合は慣習を優先して阪神JFの勝ち馬が優先されるのか、牡馬を破ったミスエルテになるのか。同舞台での施行だけに「時計が速い」とか「内容がいい」ほうに軍配が上がることも考えられる。もちろん、それもこれもミスエルテが朝日杯FSを難なくクリアしての話だが…。

 いずれにせよ、ミスエルテの阪神JF回避は、同世代の牝馬にとっては、ありがたい話。特にミスエルテが制したGIIIファンタジーSをパスして、翌週のGIIデイリー杯2歳Sを選択し、勝利したジューヌエコール(安田)にとっては、また直接対決を避けることができるのだから、まさに最高の展開? いやいや、陣営の名誉のために言っておくと、前走も決してミスエルテから逃げたわけではなかった。

「新馬、オープン特別と一つずつ課題をクリアしていって、次は距離を克服してほしかった。こちらからお願いしてデイリー杯2歳Sを使わせてもらいました」(安田翔助手)

 ミスエルテと同じサンデーレーシング所属だから、オーナーサイド主導で“使い分け”したのではなく、あくまでキュウ舎サイドが課題をクリアさせることを優先させたのがその真相だ。

「この血統は母も兄姉も預かっていたので、特徴はよく分かっているつもり。なので最初から段階的に課題をクリアできるようにしてきた。言うのは簡単だけど、それを実際にやるのは、なかなか難しい。本当にスタッフのおかげです」とは安田調教師。

 ルミナスウイングほか、キュウ舎に所属したこの血統は短距離志向が強く、ダート色が強い馬も多く出た。トレーナーはそうした馬を管理してきた経験を実子の景一朗、翔伍の兄弟を中心としたキュウ舎スタッフに伝え、スタッフもその意図をよく理解して調教に取り組んできた。その努力が実を結び、ようやくこの血統の悲願とも言うべきGIタイトルが手の届くところまで近づいてきたのだ。

 ミスエルテの阪神JF回避がここに絡んできたのは偶然の出来事にすぎないが、今ジューヌエコールに強い追い風を感じているのは記者だけではなかろう。最優秀2歳牝馬の座を巡る、熱い少女たちの師走の走りが今から楽しみでならない。

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