▲武豊騎手騎乗のアウォーディーがクラシックを制した今年のJBC、売上記録更新の背景に迫る(撮影:高橋正和)
地方競馬の最大手と言えば、東京・大井競馬だ。東京23区内唯一の競馬場でもあり、入場者や売り上げに関する記録も、大井がほぼ独占していた。だが、11月3日にその一角が崩れた。
川崎競馬場で同日行われた第16回JBC(ジャパン・ブリーディングファームズカップ)で、1日の売り上げが48億7402万2850円(SPAT4LOTOを含む)を記録。昨年12月29日の東京大賞典(大井・GI)当日に出た48億5144万4950円を上回った。
川崎は地理的に大井と非常に近い一方、一時期は船橋に有力馬が集まるなど、南関東の中でもやや存在感が薄い面があった。その川崎で新記録が出たことは、現在の地方競馬の収益構造が、以前とは様変わりしたことを示す。
好天に恵まれ大井の記録破る
2001年に創設されたJBCは、地方競馬の活性化と生産界との連携強化を目的に、これまで7カ所の地方競馬場で施行されてきた。1日で複数のJpnI競走を行うのが売り物で、当初は「クラシック」と「スプリント」の2つだったが、11年からは牝馬限定の「レディスクラシック」も新設された。
川崎では06年、12年に続く3度目の開催。06年は11月2、3日の両日開催で、コース上の制約から「スプリント」ではなく「マイル」が初日の2日に施行された。2度目の12年は11月5日(月)の平日夜間開催。ちなみに、13年以降は祝日開催に固定する形が定着しており、来年も11月3日(金曜=祝日)にJRAの京都、福島開催と抱き合わせで施行される。
今回、主催者側は売り上げ40億円、入場者2万5千人の目標を掲げた。過去の実績は、06年が2日で36億604万3100円。12年が26億9225万2800円。悪条件もあって、いずれも主催者側の目標には遠く及ばなかった。だが、今回は週半ばの祝日の昼開催で好天という好条件。午前中からファンの出足は早く、午後0時の時点で入場者は1万人を突破。売り上げもJBC各競走の前の8レース時点で8億円を突破していた。
JBC3競走の最初に組まれた「レディスクラシック」は、ホワイトフーガが連覇を達成し、2着は初ダートの15年桜花賞馬レッツゴードンキ。売り上げは8億5170万9200円で前年比6.5%増。続く「スプリント」(1400m)は、10億1537万7000円で前年を1.9%下回ったが、最後の「クラシック」は16億1734万1100円で前年を7.2%上回るレコードを記録。最終的な入場者は2万8718人に達し、売り上げでも、突破は難しいと思われた地方競馬1日記録を更新した。
▲週半ばの祝日の昼開催で好天という好条件(撮影:高橋正和)
▲午前中からファンの出足は早かった(撮影:高橋正和)
JRAネット投票の威力示す
更新前の地方の1日記録は昨年の東京大賞典当日で、この数字は2カ月足らずで更新されたものだった。15年の大井JBCは、48億4980万5050円。11月3日の昼開催で、やはり天候に恵まれた。このレベルの数字が3度出たことで、50億円の大台到達も見えてきた。
第1回JBCは01年10月31日(水)、大井の夜間開催で行われた。平日の夜間でJRAとの発売協力が始まる前だったが、39億3766万1900円を記録した。この記録がようやく破られたのが一昨年だ。今回、JRAのネット投票は19億3312万9600円で、1日売り上げの実に39.7%を占める。
一方、南関東4競馬場主管の「SPAT4」は10億2448万450円。楽天系の「競馬モール」は4億321万9000円、ソフトバンク系の「D-net」は1226万8300円だった。