安田厩舎の真打ちルーズベルトゲーム “世界的名牝”の娘が活躍している波に乗る/吉田竜作マル秘週報
◆師走デビューの注目馬
いよいよ2016年オーラス開催。2歳戦目線で言えば、次週の阪神JF(12月11日)、その翌週の朝日杯FS(18日)と阪神競馬場で大一番が行われ、ラストウイークには中山競馬場で“プレ皐月賞”とも言うべきホープフルS(25日)が控えている。POGファンならずとも、目の離せない師走となりそうだ。
ビッグレースだけでなく、“大物”と言われる逸材がデビューするのも、この年末開催の特徴。その中でも記者が注目しているのが「好調」安田キュウ舎の“真打ち”とも言うべき良血馬ルーズベルトゲーム(牝=父ディープインパクト、母サプレザ)だ。
まだこの世代が年を重ねる少し前、ちょうど昨年の今ごろか。軽いジャブ程度に「来年の2歳でいいのいませんか?」と安田調教師に探りを入れたところ、即座に返ってきたのが「サプレザの子ですね」。このころから「見た目にも品があるし、何より顔がいい」とゾッコン。特にルックスの評価はデビュー目前の今でも変わらない。よほど、安田師の“好み”なのだろう。
母サプレザは現役時代に2009〜11年の英サンチャリオットSを3連覇するなど、ヨーロッパのマイル戦線をけん引。日本のマイルCSにも同じく09年から11年まで3年連続で挑戦し、3-4-3着と安定した成績を残した。欧州での好成績だけでなく、日本や香港でのスピード競馬に対応できたことが決め手となったか。2度目のマイルCS挑戦前に、社台ファーム代表・吉田照哉氏がトレードで購入。早い時期から繁殖馬としても高い評価をされていたことがわかる。
今年はこのサプレザのような“世界的名牝”の娘が日本で大活躍。怪物フランケル産駒のミスエルテ、ソウルスターリングはその代表的な存在で、特に後者の母は欧米でGI6勝を挙げたスタセリタ。母の成績だけならサプレザ以上といっていい。しかし、安田調教師は同世代の牝馬に強力なライバルが揃っている状況をむしろ歓迎しているようなのだ。いわく「良血馬が期待通り、そのまま活躍してくれている。ウチもその流れに乗ってくれるといいですね」
実を言うとルーズベルトゲームには体質の弱さがあり、決して順調にここまできたわけではないとか。しかし栗東入キュウ後はとんとん拍子に課題をクリア。「だいぶ体も絞れてきたし、それにつれて走りもしっかりしてきた。併せ馬をすると“さすが”って動きをしますし、走りがきれい」とトレーナーの期待は確信へと近づいている。注目の初陣は日曜(12月4日)の中京芝1400メートル。ルメールが騎乗予定だ。
本来ならこれで締めたいところだが、もう1頭覚えておいてほしいのが、これも“ビジュアル系”のホワイトドラゴン(牡=父Cowboy Cal、母Spot of Beauty・鮫島)。馬名にあるホワイトが示す通り、雪のように真っ白な白毛馬だ。
日本での白毛といえばブチコなどの「シラユキヒメ一族」が代表的で、活躍の場はダートが多かったが、こちらは「血統的には芝の中距離が良さそう。父の産駒も北米では芝で走っていると聞くからね」と鮫島調教師。担当の松浦助手も「跳びが大きくて、坂路よりはウッドとかの方が動けそう。最初はダートかなとも思ったけど、芝の方がいいのかも。見た目だけでなく、走りで人気が出てほしいね」と期待を寄せる。
阪神開催の後半にデビュー予定。うまくいけばホワイトクリスマスに初勝利…となるかもしれない。