砂界一の兵モーニン 再びの天下統一へ/トレセン発秘話
◆モーニンの“徹底マーク”はあるか
武蔵野Sで2着に敗れたゴールドドリームは道中、1番人気のモーニン(7着)をマークした結果、位置取りが後ろになり、仕掛けが遅れてしまったのだとか。
「あの馬が一番強い馬なんだから(鞍上のミルコ・デムーロが)マークするのは当然。結果的に仕掛けが遅れてしまったけど、あそこまで追い込んだわけだし、いろんなことが逃げた勝ち馬(タガノトネール)に有利になってしまったということ」(堀部助手)
このレースに先駆けて行われた船橋の日本テレビ盃でアウォーディーがマークしたのもモーニンだったという。
「(武)ユタカはあの馬一頭を相手と見て競馬をしていた。最後まで相手もしぶとかったし、(斤量)2キロ差をもらってあの競馬(アタマ差の接戦)だから、やっぱりモーニンは強い。今回も強力なライバルになると思う」(松永幹調教師)
もともと抜け出してからフワフワする面があるとはいえ、ダート路線に転向してからは、相手を力ずくでねじ伏せるようにして連勝を伸ばしてきたアウォーディーが、差し返されそうになるくらい、一番てこずったのがこのレース。やはりトップジョッキーたちがマークするだけあって、モーニンは強い馬なのだ。
今年のフェブラリーSの覇者でもある“ツワモノ”モーニンが武蔵野Sで惨敗を喫したことで、チャンピオンズCではマークが薄くなることが予想されるとなれば、逆襲を期待しない手はない。
「左右からぶつけられたりもしたし、あれだけモマれ込んだことはなかった。そのあたりが影響しましたね」と武蔵野Sの走りを振り返る担当の浜名助手は「全力で走っていないから疲れはなかったし、獣医さんは“前走より体に張りが出ている”と言ってくれています」と手応え十分だ。
馬場が渋り、芝並みの勝ち時計がマークされた武蔵野S。いかにも全力で走ったら反動が出そうな競馬で、59キロの酷量を背負っていたモーニンが、持てる力をフルに発揮できなかったことは、結果的に“ケガの功名”となるかもしれない。
JRAダート史上最速となるデビュー7戦目&282日目でのGI制覇(フェブラリーS)を成し遂げてしまうほどの稀有なポテンシャルの持ち主だけに、チャンピオンズCでは“徹底マーク”が必要だ。 (栗東の坂路野郎・高岡功)