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父ディープインパクトの成功パターンから誕生したオーシャンセブン

  • 2017年01月19日(木) 12時00分
アカネラフレシア(牡 栗東・加用正 父サマーバード、母ゼリービーン)
 父サマーバードはベルモントS(米G1)、トラヴァーズS(米G1)、ジョッキークラブゴールドC(米G1)を制した一流馬で、Storm Bird≒Nijinsky 3×3・4という相似な血のクロスを持つ。また、米リーディングサイアーのTapitと同じくRuby Slippersの牝系から出ており、近い世代にUnbridled、Weekend Surpriseを持つので両者は配合構成がよく似ている。種牡馬としては3世代を残して早世した。日本における産駒は現3歳世代の1世代のみで、現時点で10頭が中央で勝ち上がり、はこべら賞(3歳500万下・ダ1400m)でアディラートの2着となったサノサマーが出ている。アメリカで走った産駒の配合を見ると、Fappiano(その母の父Dr.Fager)またはIn Realityを母方に持つ配合パターンが目立つ。サマーバードの配合がDr.FagerとIn Realityのニックスをベースとしているからだろう。母ゼリービーンは現役時代に3勝を挙げ、母としてはJRAで走った産駒8頭中2頭が勝ち上がっている。本馬は3代母の父がFappianoで、3代母FunistradaはDr.Fagerの父Rough'n Tumbleを4×3でクロスさせた配合なので成功パターンにあてはまっている。マイル前後のダート戦で手堅く走ってくるだろう。

オーシャンセブン(牡 栗東・中内田充正 父ディープインパクト、母ロリーフォードリー)
 母ロリーフォードリーはウィンザーフォレストS(英G2・芝8f)など英愛で重賞4勝。日本における初子のエンジニアは現1勝馬で、日本適性が乏しいSea the Stars産駒ながら芝1600m戦を勝ち上がったことは評価できる。母の父Oratorioは愛チャンピオンS(G1・芝10f)、エクリプスS(英G1・芝10f)などの勝ち馬で、「デインヒル×Vaguely Noble×Alydar」という組み合わせ。母方にVaguely Nobleを持つディープインパクト産駒にはトーセンラー、スピルバーグ、ショウナンアデラ、カミノタサハラ、レッドオーヴァルなど多くの活躍馬が出ており、Danzig(デインヒルの父)とAlydarとNorthern Dancerのクロスを併せ持つ配合からはジェンティルドンナ、ミッキーアイル、サトノダイヤモンドなどが出ている。複数の成功パターンが施された好配合馬なので期待は大きい。芝2400mに向きそうだ。

フェアチャイルド(牝 栗東・北出成人 父エンパイアメーカー、母メジロオードリー)
 母メジロオードリーはフェアリーS(GIII)4着馬。2代母メジロドーベルはオークス(GI)、エリザベス女王杯(GI)[2回]、秋華賞(GI)、阪神3歳牝馬S(GI)と5つのGIを制した名牝で、繁殖牝馬としては大物を出していないものの、デビューした産駒5頭のうち4頭が勝ち上がっている。そのうちの1頭メジロシャレードはショウナンラグーン(14年青葉賞-GII)の母となった。母はHarina=プリメロ=Avena 6・6×6・7という味な全きょうだいクロスを持ち、ミスアシヤガワ≒メジロボサツ4×4といってもいい魅力的な配合構成。繁殖牝馬として期待が大きい。本馬はNorthern Dancer 4×6・6、Buckpasser 5・6×6がある程度で、全体的に見ると父母が異質な血で構成されており、同じエンパイアメーカーの父系から出たブレスジャーニーのような雰囲気がある。芝向きの中距離タイプ。

ベストアクター(牡 美浦・鹿戸雄一 父ディープインパクト、母ベストロケーション)
 母ベストロケーションは現役時代に京都牝馬S(GIII)2着、キーンランドC(GIII)3着などの成績がある。2代母ダイナアクトレス(87年毎日王冠-GIIなど重賞5勝)は2年連続でJRA賞最優秀5歳以上牝馬に選出された名牝で、近親にはモーリスやゴールドアクターの父となったスクリーンヒーロー(08年ジャパンC-GI)など多くの活躍馬がいる。本馬は母の初子。「ディープインパクト×クロフネ」はステファノス(14年富士S-GIII)、シャイニングレイ(14年ホープフルS-GII)、ポルトドートウィユ(15年京都新聞杯-GII・2着)などが出ている組み合わせ。父ディープインパクトはフレンチデピュティ-クロフネのラインと相性がよく、このパターンは定番のニックスといっていい。芝向きの中距離タイプ。

レッドジュラーレ(牝 栗東・石坂正 父ハービンジャー、母イタリアンレッド)
 母イタリアンレッドは5歳夏に七夕賞(GIII)、小倉記念(GIII)、府中牝馬S(GII)と重賞を3連勝した。その父ネオユニヴァースは牡馬の活躍が目立つ種牡馬で、これまでに重賞勝ち馬を14頭出しているが、牡馬が11頭、牝馬が3頭と性別に偏りがある。母はわずか3頭しかいない牝馬の重賞勝ち馬のなかで出世頭といえる存在で、ネオユニヴァースの代表産駒であるヴィクトワールピサ、ロジユニヴァースと同じく母方にLorenzaccioを持つという配合的なセールスポイントがある。初子のレッドアルバ(父キングカメハメハ)は3戦して未勝利。2番子の本馬はハービンジャーを父に持つ。「母の父ネオユニヴァース」はいまのところ芝よりもダートに向くという傾向が見られ、まだこれといった大物は出ていないが、先日のフェアリーS(GIII)で2着となったアエロリット(父クロフネ)のような馬も出てきており、いずれ大きなところを勝つ産駒も出てくるだろう。本馬は芝向きの中距離タイプで、古馬になってさらに強さが増すタイプだと思われる。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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