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歴史的名馬の関係者に聞いてみた 天才オグリと例えばスワーヴの違い/吉田竜作マル秘週報

  • 2017年02月22日(水) 18時00分


◆オグリキャップは正真正銘の天才

 先日、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」にてオグリキャップが取り上げられた。その反響はすさまじく、ツイッターでもトレンドに上がったほど。さらに言えば、オグリキャップが奇跡のラストランを飾った1990年の有馬記念の実況中に、“競馬の神様”の異名を取った故大川慶次郎氏が、メジロライアン(2着)を全力応援して叫んだ“ライアン”(鬼気迫る声を中継で何度も拾ってしまった)までもがトレンド入り。改めて不世出のスターホース(&名予想家)の魅力と影響力の大きさを思い知った次第だ。

 当時は高校生だった記者には、初めて気付くことも多かった。現役最後を迎えるオグリキャップについての当時の印象は「かなり白くなったな」ってくらいのものだったが、番組で改めて見ると、冬毛がえらく伸びていて、ぬいぐるみのような姿になっていたことに驚かされた。

「あんな状態で、(武)ユタカを乗せて勝っちゃうんだもん。ドラマだよねえ」と、しみじみと振り返ったのは松永昌厩舎の中山助手。ピンとくる方もいようか。中山助手といえば、当時は北橋厩舎の調教助手で、のちにデビューする福永の“兄貴分”としても知られた人。当時の北橋調教師と(オグリキャップを管理していた)瀬戸口調教師は「まるで兄弟みたい」と言われるくらい仲が良かったこともあり、中山助手もオグリキャップの背中に何度かまたがる機会があったそうだ。

「水平首というのかな。首を伸ばして走るので見栄えがいいし、乗っていても“ええわなあ”という感じ」

 ちなみに同じ松永昌厩舎の瀬戸口助手も「角馬場でダクに乗った」オグリキャップの背中を知る一人。この中山、瀬戸口両助手が結論付けたのが「オグリキャップは中央に来る前から、もう完成品だった」

 そう、公営競馬出身ということで、泥くさいレッテルが貼られがちだが、オグリキャップは正真正銘の天才であり、生まれながらにしてエリートだったのだ。

 記者がこの世界に入って20年がたつ。その間にPOGを通して学んだことは「入厩してから経験を積み上げ、大きく成長する馬は大物になる」

 例えば共同通信杯を制したスワーヴリチャードのデビュー前は「口向きが硬いのが気がかり」と庄野調教師は思案顔で、実際にその矯正にかなり骨を折ってきた。それが鞍上の四位や担当の久保助手の教育、そして鼻革の効果も大きかったのか、共同通信杯では鞍上と息を合わせ、上手に走れていた。

「もちろん、最大目標はダービーだけどね。前走はスタートから出していっても折り合えたし、ああいう競馬ができたことは皐月賞にもつながると思う」とトレーナーもレース後、その成長に目を細めていたものだ。

 そんな感じで、一つひとつ課題をクリアし、ステップアップしていくのが、本来の競走馬のあるべき姿なんだと思うし、そういった馬の成長する過程を何度も見てきた後だからこそ、余計にオグリキャップの特異さを改めて思い知らされる。

 果たして近い将来、競馬ブームを再燃させるような“天才”は出現するのだろうか。願わくば、その時はPOGでちゃっかり指名しつつ、ともに物語を楽しみたいものだ。

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