リアルスティール ドバイターフ連覇へ レース前にも試練/トレセン発秘話
◆「この馬に関して一番心配なのは装鞍」
レース当日、我々が馬の様子をチェックできるのはパドックからであり、厩舎から装鞍所までの状況は基本的に“ブラックボックス”だ。しかし、パドックに姿を現すまでに、様々なドラマがあったりするものだ。
「この馬に関して一番心配なのは装鞍ですね」
中山記念にリアルスティールを送り出す柿崎助手の弁だ。覚えている方もいるだろうか? 昨秋の天皇賞(2着)で装鞍に時間がかかり、パドックに出てくるのが大幅に遅れたことを…。その間、陣営は大変な思いをしていたという。
「他の陣営から“あんなの初めて見た”と言われました。鞍を置こうとすると、頭を下げて暴れてしまって…。とにかく置かせてくれない。まるで初めて鞍をつけるのを嫌がる若馬みたいでした。あそこまで装鞍に苦労したのは初めてでしたね」
続くジャパンC(5着)では「厩舎装鞍」にしたことで、だいぶマシになったそうだが、今回は思案どころのようで…。
「次に予定しているドバイターフ(3月25日=メイダン競馬場、芝1800メートル)が厩舎装鞍できないんです。だから今回のレースをそのステップと考えると、厩舎装鞍するのがいいのかどうか…」
秋天の時のように、とんでもなく暴れたとしても、競馬では2着としっかり走ったのだから、一種の「ガス抜き」になる面もあるのだろうが、スムーズに装鞍できるに越したことはない。いろんな意味で、今回の中山記念はドバイへのテストとなりそうだ。
肝心の状態に関しては「緩かったトモがしっかりして、完成期に入った」とのことで、夏負けが尾を引いた昨秋より、調整自体は順調のよう。いろいろ課題はあろうが、ドバイターフ連覇へ向け、中山記念をいいジャンプ台にして、華麗にドバイへ旅立ってほしいものである。(栗東の坂路野郎・高岡功)