◆脚元が心配になったほどの爆発力 あくまで連想のイメージだが、人気の
ファンディーナ(父ディープインパクト)は2005年のシーザリオ(父スペシャルウィーク)とどことなく似たムードが漂っている。
頭角を現すのがちょっと遅かったシーザリオは、春のクラシック最終便のフラワーCを勝ち、「桜花賞2着→オークス1着→アメリカンオークス1着」。たちまち世代を代表する牝馬の1頭になった。
いま記録を見ると、シーザリオは460キロ前後で、ファンディーナほど大きくなかったが、牝馬らしからぬ迫力とスケールにあふれていたのは、510キロ台の馬体を誇るファンディーナと同じだからだろう。
ファンディーナは、京都芝1800mの新馬戦を、ゆっくり自分で先頭に立ち、9馬身差の独走を決めた。新馬戦はみんなが力を出し切れるものではないから、光ったのは圧倒的な勝ち方だけで、注目は2戦目に集中した。一転、控えて差す形を取ったファンディーナ(この時は川田騎手)は、超スローは見えているのになかなかスパート態勢に入らず、追い始めたのは直線に向いてから。高速の上がりをこの牝馬は「33秒0」で楽に差し切っている。
直線だけのスパートなので、当然のように速い数字になったが、ファンディーナの最後の2ハロンは推定「10秒5-10秒5」になる。シャープな牝馬の平坦の直線だけの数字とすれば珍しくないが、500キロを超える大型牝馬だから迫力があった。タメて爆発力の勝負だけにしすぎ、脚元が心配になったほどである。
ファンディーナの牝系は、ノーザンダンサー、さらにその孫にあたるデインヒルを輩出した、「ナタルマ」から発展する世界でももっとも著名なファミリーであり、ファンディーナの5代母レイズザスタンダード(父ホイストザフラッグ)は、ノーザンダンサーの17歳も下の半妹になる。
名繁殖牝馬となったレイズザスタンダードの牝系からは、種牡馬マキアヴェリアン、凱旋門賞のバゴなどが出現している。日曜日の阪神大賞典で始動したサトノダイヤモンドの母の父オーペンも、実はレイズザスタンダードの一族になる。ファンディーナの4代母クードフォーと、オーペンの母は姉妹になる。
世界を代表する現代の名牝スタセリタに、フランケルの組み合わせがソウルスターリング。現代のサラブレッドの大半に入っているのではないかと思われるノーザンダンサー(母ナタルマ)一族の牝馬に、ディープインパクトの組み合わせが、ファンディーナ。
ファンディーナは、桜花賞に間に合うだろうし、5月の東京ではソウルスターリングと並ぶ存在になっていることだろう。