現役の厩務員がマンガを描いている。深夜1時から担当馬4頭の寝藁を上げ、乗り運動をこなす田村正一さん(ペンネーム)は、夜のカイバやりまで続く断続勤務の合間を縫って、厩務員としての日常を担当馬とのエピソードを交え、園田・姫路競馬公式HP『うまのしごと』などに連載している。マンガを描く厩務員はどのようにして誕生したのだろうか。今回は特別にnetkeibaのために4コママンガを描き下ろしていただいた。ユーザーのみなさんが共感できる(?)“netkeibaあるある”とは一体……。
(取材・文:大恵陽子)
――まずは、今回のために描き下ろしていただいた“netkeibaあるある”4コママンガをお楽しみください!
異例の告知“作者ケガのため休載”
兵庫県尼崎市にある地方競馬の園田競馬場。大阪から電車とバスで約20分の川沿いにレースと調教が行われる馬場と、その脇に20棟の厩舎が軒を連ねる。
▲2階建ての厩舎は、1階が馬房、2階は調教師や厩務員の住居となっている(提供:兵庫県競馬組合)
JRAのトレセンの厩舎が平屋建てなのに対し、園田競馬場の厩舎は2階建て。1階部分に馬房、2階部分は調教師や厩務員の住居となっている。馬房の敷料に藁を使う厩舎も多く、昼間に厩舎地区を歩くと1階部分に寝藁が干されている。ふんわりと馬やボロのにおいが鼻をかすめる。
現役厩務員のマンガ家・田村正一さんはここに住んでいる。家族が競馬関係者だったわけではない。転職して厩務員になった。
「以前は求人広告の営業をやっていました。そこを辞めて転職活動をしていた頃、求人誌の一番小さい欄に『園田競馬場の厩務員募集』って載っていたんです。それまで園田競馬場には一ファンとして遊びに来ていましたし、馬の仕事にはずっと興味があったので応募しました」 乗馬経験は全くなかった。そのため育成牧場で約2か月間研修を積んだのち、競馬場で働き始めた。