▲幼い頃からアドミラブルを知る音無調教師、その並々ならぬ思いとは(撮影:大恵陽子)
青葉賞馬は日本ダービー未勝利――1994年に重賞となって以降、囁かれているジンクスを破ることができるのか。レースレコードで青葉賞を制したアドミラブルに注目が集まる。治療が難しいと言われるノド鳴りを克服し、3連勝で日本ダービーへ駒を進めた背景には、オーナー縁の血統馬として生まれた時からの並々ならぬ音無秀孝調教師の思いがあった。(取材・文:大恵陽子)
「前走だけではこの馬のことを語りきれません」
アドミラブルの前走・青葉賞は3コーナーで3,4頭外を回りながらも残り400mで先頭に立つと後続を引き離し勝利した。レースレコードのその走りは、混戦模様と言われる日本ダービーに向けて強い印象を残した。しかし、管理する音無師はこう口を開いた。
「すごく思い入れがある馬なんですよ。だから、前走だけではこの馬のことを語りきれません」
時を遡ろう。血統背景については後ほど触れるとして、まずはアドミラブルの新馬戦から振り返りたい。
デビューは昨年9月25日。エアスピネルの全弟エアウィンザーや、タッチングスピーチの全弟ムーヴザワールドなど期待馬が集まる中、アドミラブルは9着でゴールした。キャリア4戦のうち、唯一の黒星。それには大きな理由があった。
「ノド鳴りでした。分かった時はオーナーも僕もすごくショックでした……。デビュー戦後に手術を受けました。手術をしても治る馬がなかなかいない中、治ってくれました」
5ヶ月半の休養を挟んで3月5日、阪神競馬場で2戦目を迎えた。
「走る前はどうなるかな、と不安でした」
ところが