◆新星に要注目 皐月賞の上位グループ優位が例年のパターンだが、男馬のエース級が頭角を現すのが遅れたこの世代(だから、牡馬陣のレベルが低く映った)は、デビューを遅らせたディープインパクト産駒を筆頭に、新星に要注目だろう。早めに勢力図が完成しかかっていた牝馬陣でも、オークス2着は3月ころはまだ無名に近かったモズカッチャンだった。
牡馬の皐月賞を制したのは、3月の毎日杯を勝って急上昇した
アルアイン(父ディープインパクト)であり、毎日杯2着は日本ダービーにマトを絞った
サトノアーサー(父ディープインパクト)。毎日杯の時計はあの時期のスローとすれば非常に優秀な、納得の「1分46秒5」である。
その3週前に同じ阪神の芝1800mを完勝したのは、のどの手術明けの
アドミラブル(父ディープインパクト)であり、勝ちタイムは全体に好時計の出る芝とはいえ、なんと破格の「1分45秒8」だった。アドミラブルの上がりは34秒0である。
続いていきなり2400mのアザレア賞を楽勝したアドミラブルの上がりは「33秒5」。スローとはいえ後半に10秒台(推定)のラップを連続させた迫力は素晴らしく、3連勝となった青葉賞は、好タイムの記録が続いた時期とはいえ、レースレコードどころか、日本ダービーのレコード2分23秒2に迫る「2分23秒6」である。
日本ダービー史上4位に相当の快時計を、豪快というより、やや乱暴にも映る3コーナーからのスパートで(トライアルで)記録したアドミラブルは、あの時点でドゥラメンテ、ディープインパクト、キングカメハメハ級の中身を示したともいえる。
数々の鉄則、ジンクスを吹き飛ばし、発熱明けの3カ月ぶりで、わずか3戦目に、日本ダービーの歴史を変えて勝ったフサイチコンコルド(祖母の半兄)が代表する一族である。青葉賞を直前ステップにして日本ダービーを勝った馬はいないが(OP特別時代を含めると、2着馬は8頭いる)、そんな記録に終止符を打つのは、歴史を変えたフサイチコンコルド一族のこの馬の役目だろう。
大外の18番枠は死角だが、抜けたスケールを信じるなら、評価を下げる必要はない。ルメールがG1を連勝し、デムーロの顔つきが変わっている。青葉賞の反動は、まずない。今回の追い切りの迫力は前回以上だった。
皐月賞組の
スワーヴリチャード、
レイデオロの相手本線は当然だが、今年の狙いは別路線組。日本ダービーにマトを絞っていたサトノアーサー、そして青葉賞を2分24秒0で乗り切った
ベストアプローチは怖い。