スマートフォン版へ

ベテランになってからも大仕事をする血統/安田記念

  • 2017年06月03日(土) 18時00分


◆安田記念は久しぶりにG1を勝った馬が多い

 C.ルメールの4週連続G1制覇の期待も重なって1番人気に支持されるのはちょっとつらい側面もあるが、しかし、いまのルメールならプラスは大きいイスラボニータ。前回のマイラーズCは久しぶり(約2年7ヶ月ぶり)の重賞勝ちだが、ゴール前の詰めの甘さをカバーするよういつもより仕掛けを遅らせ、馬の間に突っ込んだ素晴らしい騎乗だった。

 オークスのソウルスターリング、日本ダービーのレイデオロだけでなく、アドマイヤリードのヴィクトリアマイルもみんな連続しての騎乗がもたらした好結果であり、このイスラボニータも3歳時以来のコンビが復活して以降は連続騎乗で【1-3-0-0】である。

 安田記念は、G1の最長間隔となる約3年半ぶりに再びG1を制したアドマイヤコジーン(父コジーン)、約3年2ヶ月ぶりにG1を勝った昨年のロゴタイプのほか、ブラックホーク、アグネスデジタル、ギャロップダイナ、ウオッカ、ヤマニンゼファーなど、久しぶりにG1を勝った馬が非常に多い。

 タフな血を伝える種牡馬として晩年になって再評価されたフジキセキの産駒・イスラボニータ(母の父コジーン)に注目したい。再三再四の致命的な脚部難を克服してダートG1を7勝もしたカネヒキリを筆頭に、牝馬ながら6歳、7歳時にヴィクトリアマイルを連勝したストレイトガール、7歳、8歳時に高松宮記念を連覇したキンシャサノキセキもフジキセキ産駒。ここへきてブルードメアサイアーランキングでも連続して4〜5位に登場するフジキセキは、タフなダート巧者ホワイトフーガ、サウンドトゥルーなどの母の父でもある。

 タフでベテランになってからも大仕事をする特徴は受け継がれるところがあり、前出のアドマイヤコジーンは、6歳で突然スプリンターズSを制し、9歳の現在も現役のスノードラゴンの父となった。

 もともとが東京巧者のイスラボニータは、種牡馬フジキセキが種牡馬生活16年間の最終世代から出現した、ただ1頭のJRAのクラシックホースであり、ここで約3年1ヶ月ぶりにG1勝ち馬となるなら、タフで息の長い活躍馬を送るフジキセキの後継種牡馬となることが可能になる。

 C.ルメールの4週連続のG1勝ちが実現し、またまた長期間隔のG1制覇が安田記念で達成されたり、それが種牡馬フジキセキと、コジーンの組み合わせだったりしたら、それはデキすぎだが、やっぱり勝ちみの遅いイスラボニータに戻っても、馬券圏内は確保してくれそうに思える。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング