◆レコード級のタイムは「前後半のバランスがとれている際に記録される」 新潟のマイル戦はめったにハイペースになることはないが、レベルが低くない限り、どういう流れでも決着時計は速くなり、最後はスタミナの裏付けのあるスピードの勝負になることがほとんど。
レコードは12年、ドナウブルーの1分31秒5だが、レースの前後半は「47秒0-44秒5」。バランスはスローに近く、好位から抜け出たドナウブルーの後半3ハロンは「32秒6」だった。ただ、これは馬場状態もあり、やや特殊な記録か。
現在の新潟コースの2位に相当する1分31秒8は5回ある点に注目。
マグナーテンの2001年は「46秒2-45秒6」
同じくマグナーテンの2002年は「46秒4-45秒4」
オースミコスモの2003年は「46秒0-45秒8」
カンパニーの2007年は「45秒6-46秒2」
ヤングマンパワーの2016年は「45秒7-46秒1」
この5回の平均は『46秒0-45秒8』=1分31秒8である。レコード級の速い時計は「前後半のバランスがとれている際に記録される」。そんな典型的なパターンであり、ワンターンのコースで、新潟の直線は長く、かつほぼ平坦。こういうバランスになるから、速いタイムになるともいえる。レース上がり平均は「34秒3」、勝ち馬の上がり平均は「33秒6」である。
今年、
マルターズアポジー、
マイネルハニーなど、少なくともスローでは行かない逃げ=先行馬が複数いるので、深い根拠はないが、1分31秒8で決着したモデルの5回ときわめて似た結果が生じるように思える。
先行馬有利とか、差し馬有利とかではなく、この平均と同じような記録のある馬か、あるいは明らかにスローなのに、この平均勝ち時計と同じような走破タイムをもつ馬を狙いたい。
昨年の勝ち馬ヤングマンパワーは、1分31秒8を上がり「33秒7」で抜け出したので、これは一応合格。カギは体調。2着
ダノンリバティは、上がり34秒2だった。最近は先行するが、そうすると案外切れないのが死角。
狙いは、阪神のコースレコード1分31秒9「レース全体は47秒1-44秒8」を、後方からまとめて差し切った
ブラックムーン(父アドマイヤムーン)。
高速の芝を利したこともあるが、まるでドナウブルーの快レコードと酷似したバランスであり、ブラックムーンの上がりは32秒4だった。流れがバランスのとれた平均ペースになるなら、この馬の時計短縮は少しも不可能ではない。
ジャパンC、宝塚記念などを制した父アドマイヤムーンに「快速系」の印象は薄いが、エンドスウィープ→フォーティナイナー(母の父トムロルフ)→ミスタープロスペクターとさかのぼる父系は、スピードを失わないまま距離の幅を広げた驚異の発展父系である。マイルの日本レコードは1分30秒7。京成杯AHでこの記録を叩きだしたのはアドマイヤムーン産駒のレオアクティブである。
母の父がスタミナ色の濃いノーザンダンサー系種牡馬で、母方には総じてスタミナ色が濃く、ノーザンダンサーだけでなく、伝説のリボーのクロスを持つ配合形は、ブラックムーンも、レオアクティブもなぜか似ているのである。