今回は栗東トレセン内の競走馬スイミングプールに潜入
夏休み! 子供たちがビニールバッグ片手にはしゃぎながら学校のプールへと通っている。私は大人になっても平泳ぎはできないままで、人間にはこのようなカナヅチが存在する。しかし馬の場合、全く泳げない馬は存在しないという。90年代のあの名ステイヤーは泳ぎも上手だったという。プールは競走馬にとってトレーニングの場であり、リラックスできる場所でもある。栗東トレセン内の競走馬スイミングプールに潜入してきた。(取材・文・写真:大恵陽子)
北九州記念出走予定のラヴァーズポイントに密着!
競走馬のスイミングプールの開場は朝7時。ある木曜日の朝、プールの前で立っていると開場時刻と共に色んな厩舎から次々と競走馬がプールに集まってきた。鞍を外された馬は、調教助手や厩務員に引かれて大きな自動扉をくぐって屋内プールへと入っていく。
中には馴致用のプールと直線25mプール、そして1周50mの円周プールが1つある。いずれも水温は年間を通じて約26℃の温水に設定されている。
初めてプールに来た馬はまず水が張られていない馴致用のプールを歩くことから始める。慣れればそこに約30cmの水を張り、水や狭い場所に慣らしていく。円周プールは右回りと左回りどちらも使用が可能で、左右同じ回数だけ泳ぐ馬が多い。
今週末、北九州記念に出走予定のラヴァーズポイントがプールにやってきた。高橋康之調教師は管理馬のプール利用目的をこう話す。
「目的は色々あります。ずっと調教で乗っていると馬の背中に負担がかかるので、背中に負担をかけずに負荷をかけたい場合や、調教を進めていくうちに背腰が硬くなってくる馬のストレッチ、運動だけだと元気のいい馬のエネルギーを発散させる場合などですね。また今のような暑い時期は外で長い時間運動ができないので、上がり運動代わりにクーリングダウンに来ることもあります。厩舎によっては新馬をゲート練習前に連れてきて、狭い所に慣らす目的を持っているところもあるようです」
ラヴァーズポイントの場合は