やはりタダものでなかったディープインパクトの強さ。弥生賞から皐月賞、ダービーという蹄跡がはっきり見えたと断言できそうです。待望したスター誕生、この春が楽しくなってきました。
4角を回って来るときは本当に気持ちよかった。乗っていて速さを感じた。まだキャリアは3戦、馬はさらに良くなると語った武豊騎手の言葉には、一点の曇りもなく、その期待の大きさが伝わってきます。
“皐月賞の中山コースはトリッキーなコースだから”とは、かつて彼自身の口から聞かれた言葉です。先行馬群がひしめいて、これを捌けずに苦しんだ経験を積み重ねることで掴んだある種の確信。ディープインパクトならどんな戦い方がいいのか、それを考えながらの弥生賞だったでしょう。
前半がスローペースの後方集団にいて、3角からペースが上がった勝負どころで一気に進出して3番手。この時、馬群の大外を回っていました。
この3角を回って一気にスパートして圧倒する勝ち方、皐月賞制覇のひとつのパターンと言えるものです。
少差で喰い下がったアドマイヤジャパンは実に勝負強いところを見せました。3番手から直線は内一杯をついて伸びてくるという無駄のなさ。皐月賞は18頭と頭数が増えるので、こうした先行してしぶとい運びをするものにチャンスが巡ってくることがあります。
確かにディープインパクトは力でこれを倒しましたが、このままでは安心できません。3戦3勝という実績に、さらにプラスされるものが、本番でどれだけ出てくるか。クラシックの最短距離にあるとはいっても、そこがポイントでしょう。これらのことは、もちろん武豊騎手も、池江調教師もわかり切っていることで、あとはディープインパクト自身のさらなる成長を楽しみに待つということでしょう。