◆9歳での重賞初勝利、エポワスに勇気をもらった者が必ずいる
夢は大きく、根は深く。キーンランドCを9歳で勝ったエポワスには、この言葉が似合う。ここ2年続けてこのレースに出走していたが、2度とも好位の内につけてチャンスをうかがったことが裏目に出て、前が詰まって大敗していた。
藤沢和調教師は、運がなかった、スムーズな競馬ができれば洋芝は合うので、もうひと踏んばりさせてみようと今年もここに出走させてきたのだが、2年前の札幌UHB賞1200米をレコード勝ちした実績はこの馬の可能性を物語るもので、それ故の3度目の挑戦だった。
前哨戦の今年のUHB賞では他馬にぶつけられ7着に終ったので、今回は12番人気。いくら洋芝巧者でも狙いづらかったが、ルメール騎手は、それまでより後方に構えて少しずつ出て行き、直線で進路が定まると一気にスパートし、この馬の末脚を引き出してみせた。
9歳馬、6度目の挑戦で重賞初勝利。今後も、あくまでもエポワスの適性を見きわめた挑戦をすると藤沢和調教師は語っているが、夢は大きく、根は深く走り続けるエポワスの存在に、勇気をもらった者が必ずいる筈だ。ただし、無理はせずということは忘れずにだが。
一方、新潟2歳Sを勝ったフロンティアは、道を自分でつくる立場の若駒だ。中内田調教師は、中京で新馬戦を勝ったあとは、特に目標は決めず、あくまでも状態がよかったので出走させたと、馬本位を強調していた。
昨年このレースをヴゼットジョリーで勝っており、その点、心強いものがあったのだろう。前年とくらべ、同じぐらいの手応えを感じていると語っていた。
岩田康誠騎手は、今後のことを考えて行けば行けるフロンティアを2番手に控え、長い直線をじっくり伸びてきて、完ぺきな勝利をつかんでいた。折り合いをつけ、長くいい脚を使えたことは大きい。道はじぶんでつくる、この課題を一歩前進させたことになる。
レースに出走させる側の思いをどれだけ把握しているか。特に重賞競走では、このことに尽きるように思える。誰しもが考えつく、夢は大きく、根は深く、さらには、道は自分でつくるものという考え方をベースに、またレースにチャレンジするのだ。新たな可能性は。