「GIを目指せる存在」と言われていた逸材インカンテーション
10月3日(火)、金沢競馬場で行われる『第37回白山大賞典』。2100mで争われるJpnIIIレースで、JBCクラシックを始めとする秋のダート頂上決戦に向け重要な一戦。これまでイングランディーレ、タイムパラドックス、ニホンピロアワーズ、そして昨年のケイティブレイブなど後のGI・JpnIホースを輩出しています。
今回はまず出走馬の中でも中心となりそうなインカンテーションの経歴を振り返ってみましょう。
2010年生まれ、父シニスターミニスター、母オリジナルスピン。2012年、デビューから3戦は芝を使って勝てずにいましたが、4戦目でダートに転向し初勝利を飾ります。2戦挟んで2013年3月の沈丁花賞(中京・ダート1800m・3歳500万下)は逃げて5馬身差の圧勝。続く伏竜S(中山・ダート1800m・3歳OP)はコパノリッキーに敗れ4着。休み明けで臨んだ6月の御嶽特別(中京・ダート1800m・1000万下)は初の古馬との対戦で3着。7月の濃尾特別(中京・ダート1800m・1000万下)は古馬相手で1番人気に応え快勝。
続く8月の3歳重賞GIIIレパードSは新潟のダート1800m戦。当時はJRA所属だったケイアイレオーネはじめダート巧者が集まる中、1番人気に推されたインカンテーション。逃げたサトノプリンシパル、オメガインベガスに続くインの3番手からの競馬。4コーナーを回って先に動いたケイアイレオーネ、直線で逃げ粘るサトノプリンシパルを交わし2馬身半突き放して勝利。文字通り横綱相撲で重賞初制覇を飾ると「ダート界に新星誕生」と大きな期待が寄せられました。
その後3歳時は秋に3戦して(ジャパンカップダート14着を含む)勝ち星を挙げられないまま終え、7か月の休み明けで出走した2014年7月のエルムSで3着。8月のBSN賞(新潟・ダート1800m・OP)、9月のラジオ日本賞(新潟・ダート1800m・OP)、11月のみやこSを制し、3連勝で重賞2勝目を飾ります。
みやこSの次走、チャンピオンズCは10着。2015年5歳時は東海Sで3着、フェブラリーSは2着、平安Sで重賞3勝目を挙げるなど好調でしたが、その後は度重なる故障のため順調に使うことができず休養を挟み6歳時はわずか2戦のみ。そして今年2017年7歳を迎えて3戦目、3月のマーチSで1年10か月ぶりの復活の勝利を挙げます。
3歳時から「GIを目指せる存在」と言われていた逸材。前走・かしわ記念ではコパノリッキーの2着に健闘。あともう少しのところまで来ている印象で、この秋のGI・JpnI奪取を目標に、ここは負けられないレース。ダートグレード競走4勝はメンバー中ナンバーワンの実績。今回2100mは初めてですが、これまで1800mを中心に使って1900mの平安Sでも勝利を挙げており、200mの延長は守備範囲とみて中心に推したいと思います。
距離も守備範囲のインカンテーション(写真は2017年かしわ記念パドック、撮影:高橋 正和)
インカンテーションを脅かす存在のカツゲキキトキト
インカンテーションを脅かす存在の筆頭は地方馬から愛知のカツゲキキトキトをあげましょう。昨年、東海ダービーを含む7連勝で挑んだジャパンダートダービーで6着に健闘。黒潮盃2着、地元に戻っての秋の鞍では4馬身差の快勝。続く昨年の白山大賞典は6着でしたが、その後も地元東海地区の重賞で大活躍。ダートグレード競走でも名古屋グランプリでアムールブリエの3着、佐賀記念でロンドンタウンの4着、名古屋大賞典でケイティブレイブの3着とJRA勢相手に十分に戦える力があるところを見せてくれています。前々走、前走はどちらも57kgを背負って2着。54kgの今回「ここが目標」という陣営の期待に応えてダートグレード競走初制覇を目指します。
「ここが目標」とダートグレード競走初制覇目指すカツゲキキトキト(写真は2017年くろゆり賞出走時、(C)netkeiba.com)
3歳馬タガノディグオは昨年の覇者ケイティブレイブと同じく兵庫チャンピオンシップを制した重賞ウイナー。続くジャパンダートダービーはヒガシウィルウィンの3着。前走・レパードSでは2番人気に推されたものの出遅れて後方のまま伸びずに12着。-14kgの馬体重減も響いたと考えられ、今回は状態がカギとなります。兵庫チャンピオンシップで見せたロングスパートでの決め手を見せてくれれば上位争いも可能です。
今回は状態がカギとなりそうなタガノディグオ(写真は2017年兵庫CS優勝時、(C)netkeiba.com)
期待の上がり馬コパノチャーリー。父アグネスデジタル、母コパノニキータとご存知コパノリッキーの半弟。早くから活躍した兄と違いコツコツと勝ち星を重ね、5歳となった今年4月に桃山S(京都・ダート1900m・1600万下)を勝ってオープン入りした遅咲きの馬。重賞初挑戦だった平安Sでは16着と大敗してしましたが、続く名鉄杯(中京・ダート1800m・OP)3着、前走・阿蘇Sは2番手からの競馬で1着。初の地方競馬場への参戦になりますが、先行力を活かして自分の競馬ができれば一気に重賞初制覇も夢ではありません。
兄と違いコツコツと勝ち星を重ねてきたコパノチャーリー(写真は2017年阿蘇S優勝時、(C)netkeiba.com)
そのほか2走前マーキュリーCで3着のクリノスターオーもダートグレード競走で上位争いを続けている存在。前走・釜山S(小倉・ダート1700m・1600万下)を勝ったナムラアラシも金沢に初登場。
金沢からは近走地元のレースで掲示板を外さず上位安定のマイネルリボーン。一昨年の川崎・戸塚記念の勝ち馬で今年の5月に金沢に移籍した牝馬ミスアバンセも参戦。
金沢に移籍し調子を取り戻してきたミスアバンセ(写真は2015年戸塚記念優勝時、撮影:高橋 正和)
人気を集めそうなインカンテーションが悲願のGI・JpnI制覇に向けて好発進をするのか?! ここを目標としていたカツゲキキトキトが一矢報いることが出来るのか?! 金沢競馬場で行われる唯一のダートグレード競走・白山大賞典、お見逃しなく!
※次回の更新は10月3日(火)18時。翌日に大井競馬場で行われる「東京盃」のコラムをお届けします。
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中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。