◆未来展望の転換に近い 2歳戦が早まって、重賞が増え、昇格もあった。旧「いちょうS」がサウジアラビアRCになり、アルテミスSが創設され、京都2歳Sが重賞になり、ホープフルSが昇格した。ビッグレースへの賞金ハードルが高くなり、のんびりしているとクラシック、そのトライアルにも出走できない危険がある。
今春の桜花賞には、それまで6年間に4勝もしていたディープインパクト産駒が人気薄の2頭しか(うち1頭は取り消し)、出走していなかった。この世代のディープインパクト産駒は、過去3〜4年は将来の成長を重視し、始動を遅らせていたが、それではクラシックに出走できない。まして、2歳戦向き種牡馬も増えている。今年は(おそらく意識的と思われるが)、期待の産駒の出走時期が早まっている。この時期、ディープインパクト産駒は10勝前後にとどまる年が続いたが、今年はもう16頭が勝って17勝もしている。12月を待たずに2歳ランキングのトップをうかがう勢いである。未来展望の転換に近い。
他の種牡馬の産駒も、取り巻く状況は同じ。この時期の2歳重賞にありえなかったフルゲート「18頭」の早くも壮絶なレースになった。
注目馬は多いが、
カーボナード(父ディープインパクト)が狙い。前走の1分35秒3も、上がり34秒0も目立たないが、最後「11秒6-10秒7-11秒7」の直線でギアを2段階チェンジして伸びたように見えた。
母方は、日本に多くの馬が輸入され成功している牝系で、コートリーディー(1968、米、父ネヴァーベンド)から広がる一族と考えると、ヤマニンパラダイス、ノーリーズン、種牡馬トワイニングなどがこれまでの代表馬だが、現代は名種牡馬グリーンデザート(父ダンチヒ)は、カーボナードの祖母ユーセフィアの全兄にあたるということができる。
3代母フォーリンクーリア(グリーンデザートの母)の半妹は、種牡馬ベルトリーニの母となった点も売りだろう。種牡馬ベルトリーニは、日本の競馬史の頂点に立つ名牝ジェンティルドンナの母父である。また、今秋の注目3歳牝馬ラビットラン(父タピット)、注目の2歳牡馬アサクサゲンキ姉弟の3代母がコートリーディーであり、カーボナードの4代母もコートリーディーである。
現代は似たような血統構成図を秘めた馬などいくらでもいるが、カーボナードとジェンティルドンナは同じディープインパクト産駒であり、2代前にともにコートリーディーの孫になる同じダンチヒ産駒をもつから、少なくとも同じようなマイル向きのスピード能力を伝える可能性がある、という意味で注目は唐突ではない。
同じディープ産駒の
ダノンプレミアム、注目の種牡馬ロードカナロアの
ステルヴィオ、エイシンフラッシュ産駒の
スワーヴエドワード(祖母はディープインパクトの半姉)、メジロブライト、メジロベイリーの牝系出身の公営
ダブルシャープなどに、手広く流したい。