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新進気鋭の中内田厩舎が2歳戦線にニューウェーブを起こす(辻三蔵)

  • 2017年10月10日(火) 18時00分


◆目指すは念願のGI初制覇だ

 10月7日に行われた第3回サウジアラビアロイヤルC(GIII、東京芝1600m)は2番人気のダノンプレミアムが1分33秒0の2歳コースレコードで快勝。デビューから無傷の2連勝で重賞初制覇を決めた。

 ハクサンフエロが軽快に飛ばし、前半1000m通過58秒3の超ハイペース。東京芝1600mで行われた2歳重賞の1000m通過タイムでは最速ラップを刻んだ。

 好スタートを切ったダノンプレミアムは2番手で折り合いに専念。直線半ばで先頭に立つと、後続を突き放した。

 勝ち時計の1分33秒0は2014年いちょうSでクラリティスカイが記録したレコードタイムを0秒5更新。過去に東京芝1600mを1分33秒台で走った2歳馬は3頭いるが、その内、ロゴタイプ、クラリティスカイがのちにGIを勝っている。前日の降雨の影響で馬場状態(稍重発表)は渋っていたが、規格外の時計を叩き出した。

 今回、ダノンプレミアムは短期放牧を挟んで3か月半ぶりの出走。8月24日に帰厩後、栗東Cウッドコースと坂路を併用して調教本数を9本消化。特に栗東Cウッドコースでは3週連続6ハロン追いを行った。6ハロン82秒台の好時計を2週続けて計測し、体力強化を図った。2週連続、芝コースで追い切った新馬戦1着時と比べれば、調教量を倍以上に増やしている。

 管理する中内田調教師は新馬戦からの成長力の高さを見極めたからこそ、ハードトレーニングを課したのだろう。レコード勝ちの反動を乗り越える体力は調教の段階で身についている。

 開業4年目の中内田厩舎は今年、中央競馬でキャリアハイの38勝を挙げている(データは2017年10月10日現在)。特徴的なのは馬の成長度合や性格に合わせて調教コースを使い分けていることだ。

 今年、直前追い切りを行った調教コース別成績を調べると、栗東Cウッドコース17勝(勝率28%)、栗東坂路9勝(勝率13%)、栗東芝コース7勝(勝率30%)の順番になる。

 昨年は栗東Cウッドコース17勝(勝率22%)、栗東坂路12勝(勝率10%)、栗東芝コース1勝(勝率5%)だから、芝コースの活用率が急激に増えている。

 芝コースで追い切るのは降雨の影響でウッドコースの馬場状態が悪化したり、芝のレースを使う馬だけではない。

 オペラグローブやサヴィのようにダートの新馬戦を勝った馬も芝コースで最終調整を行った。気持ちが前向きすぎたり、怖がりな面がある馬は調教頭数が少ない芝コースで追い切ることでリラックスして走れるように工夫している。馬の個性と調教コースの特性を分析し、実戦でベストパフォーマンスを発揮できる環境を作り出した。

 中内田厩舎は今年、全国リーディング6位にランクインしているが、30代の調教師(38歳)で30位以内に入っているのは1人だけだ。今年既に重賞3勝を挙げており、目指すは念願のGI初制覇だ。

 今年の2歳世代はダノンプレミアムを筆頭に新潟2歳Sを勝ったフロンティア、新馬戦を快勝したベルーガなど、素質馬が目白押し。競馬界にニューウェーブを起こす革命児が2歳戦線を席巻する。

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