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レースは生きもの

  • 2005年03月30日(水) 13時31分
 目標は春の天皇賞出走と日経賞に臨んだコスモバルク、今度は宿願の芝のG1制覇と高松宮記念を戦ったメイショウボーラーと、ともに予想外の大惨敗、人間の思い通りにはならないものです。

 去年、中山で弥生賞とセントライト記念を勝ったコスモバルクなら、2500mでも上手に走れるだろうという期待は、誰にも漠然とではあってもありました。競馬では、この漠然とした思いがプラスに働くことは少なく、むしろ不安感の表れと考えるべきなのかも知れません。

 緩いペースに掛かり気味になって我慢できない難しい気性、周囲の期待を敏感に感じ取ってしまうのかも知れません。無理にこうしようとコントロールされることを嫌い、本当は何を言いたいのか人馬のコミュニケーションを考え直す時なのでしょう。このままでは終わってはほしくありません。もっと自由にさせてはと、レース後思ってしまいました。

 メイショウボーラーの惨敗は、どう考えたらいいのでしょう。見ていて、走りにくそうにしているなと思いました。周囲を囲まれて走ることの少ないメイショウボーラーにとって、あの状況は、確かにいつもと違っていました。すんなり先頭を切るか、単独で2番手を走る、こんな形なら気分よく走れるのでしょうが、前後左右を気にしながらでは集中できなかったのでしょう。スタートして直ぐのポジションを見て、これはまずいと思いました。逃げるカルストンライトオも、荒れたコースを避けようとしてラチから離れたところを走り、これもいつもと様子が違っていました。

 いつも通りに走ることの難しさ、この快速馬にはこんな死角が出てしまいました。

 この2つの重賞を見て、つくづくレースは生きものだと思いました。一方的に人の思いが先行してしまうところに、競馬の怖さがあります。次に期待しましょう。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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