トップホースへの登竜門
11月23日(祝・木)に浦和競馬場で行われる『第38回浦和記念』。例年同時期にJRAのGI・チャンピオンズC(旧・ジャパンカップダート)が行われることから、すでにGIをいくつも制しているようなビッグネームが出走することが少ない一戦。その中で、3歳で古馬相手に浦和記念を制したのち大躍進を遂げたヴァーミリアンとスマートファルコンの存在が光っています。昨年3歳で制したケイティブレイブも今年、帝王賞を制覇。若駒にとってトップホースへの登竜門的な位置付けになっていると言えるでしょう。
また地方馬の活躍も目立ち、2014年は1着サミットストーン、2着グランディオーソ、3着トーセンアレスと上位独占。一昨年は1着ハッピースプリント、2着サミットストーン、昨年もハッピースプリントが3着。地方競馬でJRA勢と互角に戦える実力馬ならば十分上位を狙えるレースです。
この先に向けて重要な戦いとなるヒガシウィルウィン
今回、何といっても注目が集まるのが船橋のヒガシウィルウィン。3歳のダート王者がいよいよ迎える復帰戦、期待で胸が高鳴ります。東京ダービーの勝ちっぷりも実に強かったですが、JRA勢を相手にしたジャパンダートダービーでも堂々たるレースぶりでJpnIホースに輝きました(地方馬による制覇は7年ぶり)。2着だったサンライズソアが先日の武蔵野Sでインカンテーションの2着に健闘したことからも、初めての古馬との対戦となるここも当然勝ち負け必至。3歳で浦和記念制覇となれば先々が本当に楽しみになる重要な戦いです。
鞍上・森泰斗騎手は怪我のため騎乗できなかったジャパンダートダービー。後輩の本田正重騎手が立派に代役を果たしましたが、やはり自分の手で再びタイトルを取りたいところ。地方競馬ファンとしては将来的にアジュディミツオーやフリオーソのような存在になって欲しい逸材。ヒガシウィルウィンの更なる飛躍に心から期待します。
初めての古馬との対戦となるヒガシウィルウィン(写真は2017年ジャパンダートダービー優勝時、撮影:高橋正和)
対するJRAからは4頭。筆頭はJpnIホース・オールブラッシュ。2月の川崎記念を制し、重賞初制覇をJpnIの舞台で成し遂げました。引き続きルメール騎手とのコンビは心強い材料ですが、川崎記念以来、名古屋大賞典5着、帝王賞6着、JBCクラシック6着と勝ち星から遠ざかっているのは気になるところ。川崎記念では5番人気の低評価で楽に逃げ切りましたが、人気を集めそうな今回は他馬のマークもきつくなりそうです。
ルメール騎手とのコンビが心強いオールブラッシュ(写真は2017年川崎記念優勝時、撮影:高橋正和)
2015年のアンタレスSを制したクリノスターオー。逃げた前走・白山大賞典はインカンテーションにマークされ厳しい競馬で3着。ダートグレード競走で何度も2、3着に好走していますが、気難しいところがあって負ける時は大敗。とはいえ力上位であることは間違いなく、気分よく走ることが出来れば久しぶりの勝利も。
久しぶりの勝利を目指すクリノスターオー(写真は2015年アンタレスS優勝時、(c)netkeiba.com)
前走・京都の御陵S(1600万下)を勝ちオープン入りしたマイネルバサラ。2走前・白山大賞典5着のナムラアラシ。2頭はともに差し馬。初の浦和コースでその脚を繰り出すことができるでしょうか。
浦和コース初出走のマイネルバサラ(写真は2017年御陵S優勝時、(c)netkeiba.com)
その他の地方勢は2月の報知グランプリCを制した岩手のエンパイアペガサス。前走・盛岡の絆Cで6着でしたが、巻き返しに期待。また2014年浦和記念2着のグランディオーソは前走・千葉ダートマイルで久しぶりに快勝し、ここでも1つでも上の着順を狙います。
地方勢は岩手のエンパイアペガサスに注目(写真は2017年一條記念みちのく大賞優勝時、写真提供:岩手県競馬組合)
今年の浦和記念はヒガシウィルウィン対JRA勢の様相。中でもヒガシウィルウィン、オールブラッシュ、クリノスターオーの3頭に絞られるのでは。当然この3頭は人気も集めそうなので馬券的には吟味を重ね点数を絞ることが大事です。
地方競馬としてはそろそろNARグランプリ2017年度代表馬の行方も気になるところ。現時点の候補はジャパンダートダービーを制したヒガシウィルウィンとJBCレディスクラシックを制したララベル。果たしてヒガシウィルウィンが浦和記念を勝って受賞に一歩近づくか?!こちらの行方にも注目です。
※次回の更新は12月5日(火)18時。翌日に船橋競馬場で行われる「クイーン賞」のコラムをお届けします。
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中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。