▲香港ヴァーズを制したハイランドリール(愛)、ほか3レースは全て地元勢の勝利となった
日本から計8頭が遠征した今回の香港国際競走。しばらく雨が降っていないという香港はこの日も好天に恵まれ、馬場状態は8段階の良い方から3つめの“GOOD”。絶好の条件で行われた、日本調教馬は残念ながら勝利にいたらず、香港ヴァーズのトーセンバジル、香港カップのネオリアリズムがそれぞれ3着というのが最高の成績。
香港ヴァーズこそアイルランド調教馬のハイランドリールが制したが、その他3戦は地元香港勢がいずれもワンツーという結果だった(人気・オッズは、特に断りのないものは現地香港のものを記す)。
香港ヴァーズ(キセキ、トーセンバジル)
第4レースに行われた香港ヴァーズ(芝2400m)で注目となったのは、アイルランドのハイランドリールで単勝3.1倍。一昨年3歳時にこのレースを制しており、昨年も2着。北米、香港、英国でここまでG1・6勝。キングジョージ6世&クイーンエリザベスSやブリーダーズCターフなどを制しているクールモアグループの超一流馬が5歳シーズン一杯まで現役を続けるのはめずらしい。ここを最後に種牡馬入りが決まっている。
日本でも2番人気となっていた菊花賞馬キセキだが、香港でも今年のブリーダーズCターフの覇者タリスマニックを差し置いて2番人気。単勝3.6倍と拮抗した人気に支持された。
前半は縦長だったが、1200m通過が1分15秒78というゆったりとした流れで、3、4コーナーで馬群が凝縮。2番手を追走したハイランドリールが4コーナーで先頭に立つと、やや離れて3番手を追走していたタリスマニックがとらえにかかった。しかし直線半ばから突き離したハイランドリールが快勝。タリスマニックは1馬身3/4差で2着に入った。
そして見せ場をつくったのがトーセンバジル。道中は中団を追走し、直線を向いたところで2番手の一線に並んだが、タリスマニックには3/4馬身及ばず3着だった。
▲見せ場をつくり3着に食い込んだトーセンバジル
勝てなかったとはいえ、中団で脚を溜め、ゆったりした前残りの流れを早めに仕掛けたのが功を奏した。
「モレイラが完璧に乗ってくれた。前2頭は世界のナンバー1、ナンバー2なので、この結果には自信を持っていい。初めての経験でここまでできて、世界と戦えることがわかったので、また来年も挑戦したい」と藤原英昭調教師。ジャパンCという選択肢もあったようだが、重賞未勝利ながら、世界のトップレベルと対戦して今後への期待も広がった。
一方のキセキは、スタートで出負けし、馬群に包まれたくなかったのか最後方まで下げた。中間地点あたりから位置取りを上げ、4コーナーでは外から中団まで押し上げ、直線で追い出したものの伸びず。残り150mあたりからは追うのをやめていた。