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ロードカナロア産駒の大物候補 まだまだこんなにいる/吉田竜作マル秘週報

  • 2017年12月13日(水) 18時00分


◆期待のカナロア産駒はダノンスマッシュだけではない

「若い時の方が、がむしゃらだから、稽古の時計は出る。古馬になると、馬自身がいろいろ分かってくるから、かえって時計は出なくなるんだ」

 松田博元調教師がよく口にしていた言葉だ。2001年の朝日杯FSの覇者アドマイヤドンはその典型だったかと思う。

 朝日杯FSの直前の追い切りでは、めったに管理馬を褒めない人が「動きがあか抜けてる」と絶賛したほど。確かに若々しく、はじけるような走りだったのを、昨日のことのように思い出す。

 対して古馬になってからのアドマイヤドンは、調教でそれほど速いタイムを出さなくなっていった。まさに松田博元調教師の言葉通りの変化だ。逆説的に言うと、走ることが楽しくて仕方がない、2歳のこの時期が一番、調教時計が出やすい時期なのかもしれない。

 朝日杯FSの主役候補ダノンスマッシュの1週前追い切りも、それである程度の説明はつくわけだが、それにしてもウッド6ハロン78.8-11.6秒は破格。さすがに2歳のこの時期だから…で済ませられるレベルの話ではない。

 このダノンスマッシュが、もみじSを楽勝した時、ノーザンファームしがらきでデビューに向けて体力をつけている真っ最中だったのが、同じくロードカナロア産駒のミッキーワイルド(牡=母ワイルドラズベリー)。POGの取材時には「今年の一番馬」とトレーナーが評し、ゲート試験のために入厩した際にも「お父さんにそっくり」とぞっこん。前評判はこちらの方が上だった。

 片や順調にGIへと駒を進め、片や思いのほか調整が進まずに足踏み。安田隆調教師も「あれだけの馬なのだから、早く軌道に乗せてやらないといけません」と何度も口にしていたものだ。そのミッキーワイルドは今月3日、中京芝1400メートル新馬戦で3馬身半差の楽勝を飾った。

「まだまだ体に余裕があって、全体的に緩さが残る状態だったから…。追い切りは動いていたけど、正直“どこまでやれるか”という思いで見ていました。競馬センスが良かったですし、思った以上の勝ち方。現状であれだけやれれば、先々が楽しみになりましたね。来年はダノンスマッシュとミッキーワイルドの2頭に、厩舎を引っ張っていってもらえれば」

 ようやく安田隆厩舎のロードカナロア産駒「2巨頭態勢」が出来上がって師も満足そうだが…。実は期待のカナロア産駒はこれにとどまらない。

 前述ダノンスマッシュの1週前追い切りでパートナーを務めた一頭が新馬のダイアトニック(牡=母トゥハーモニー)。遅れたとはいえ、食らいついたのだから、合格点を与えていい。

「ルメールが上がってきた時に“ずぶといね”と言ってました。かからないのがいいし、これも走ってくると思います」

 こちらは朝日杯FS前日(16日)の阪神芝外回り1600メートル新馬戦にエントリー予定だが、さらに挙げさせてもらうと、安田翔調教師が馬上から「これ、秘密兵器ですよ」と指をさしながら教えてくれたロンドンシーズン(牝=母ロンドンブリッジ)も、年明け早々のデビューを予定している。

「あとは年を越して、距離が延びてどうなるか。そこで(ロード)カナロアの真価が問われることになるでしょうね」と安田隆調教師は課題を挙げるが、父は1600メートルを超える距離を使う機会がなかっただけで、あれば「距離の壁を破っていた」が、関係者の共通認識であることを記者は知っている。

 父の夢を子供たちがかなえる…ベタではあるが、来年のクラシックは正統派のドラマで盛り上がるのではないだろうか。

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