今回の太論は、小牧騎手の本音と意地がさく裂!
2歳GIこそ日本人騎手に軍配が上がりましたが、今年は一年を通して、外国人騎手が席巻したといっていいGI戦線。そんな状況に不安を覚えるファンからのメッセージに対し、果たして小牧騎手はどう答えるのか!? 今回の太論では、小牧騎手の本音と意地がさく裂します!
(取材・文/不破由妃子)
追いつけるように技術を磨くしかない!
──今年のGI戦線では、外国人ジョッキーの活躍が目立ちました。そういった現状について、小牧さんの意見が聞きたいという質問がいくつかきていまして、まずは「今年のGIは外国人騎手が席巻しました。技術の高さを感じる一方、これからの日本の競馬界はどうなっていくのだろう…と、不安にもなります。小牧騎手は来年の競馬界の構図をどう想像しますか?」という質問です。
小牧 ん〜、そりゃあね、僕も含めてみんなひっくり返したいと思ってるやろうけど…。仕方がないところもあるよね。だって巧いもん。関係者にしてみれば、巧いジョッキーを乗せたいのは当たり前やしね。とはいえ、外国人ジョッキーがこれだけ乗りにくると、僕らの騎乗数自体が少なくなってねぇ。収入が減るわ(苦笑)。
──2歳GIでは、日本人ジョッキーが盛り返しましたが、さらなる反発を期待している競馬ファンも多いと思います。
小牧 ねぇ、そうしたいところやけど。まぁ、追いつけるように技術を磨くしかないです。ムーアとかボウマンを見ていて思うのは、直線で馬を動かすとき、僕らよりもう一段階上のギアを入れられるということ。昔から「俺は馬を動かせるんや!」って自信を持ってやってきたし、今ももちろん自信はあるけど、世界ナンバー1とかナンバー2のジョッキーを見ると、まだまだ上の世界があるんやなぁと思うわ。
──わかっていても、すぐに真似のできるものではないと。
小牧 うん。それが“技術”やからね。
──もちろん、小牧さんほどのベテランであっても、隙あらば技術を盗んでやろうという気持ちはあるということですよね。
小牧 あるある。外国人ジョッキーだろうと若手だろうと、いいものはいい、巧いものは巧い。来年はね、ちょっとムーアの乗り方を真似してみようかなと思って。ムーアの乗り方って、昔の地方ジョッキーと共通するところがあると思わん? ああいう追い方が僕は好きやなぁ。
──ガッツリ押し出してくるというか、パワフルですよね。
小牧 そうそう。タイプは違うけど、ルメールもやっぱり巧いねぇ。昔から思っていたけど、彼は本当にそつがないし、真っ直ぐ走らせてくるしね。見習わんと。
──続いては、「今年は50歳という節目の年でしたが、若い頃に想像していた50歳と今のご自分にギャップはありますか?」という質問です。
小牧 ギャップも何も、僕自身、自分が50歳とはまだ思ってないからね。ギャップとはまた違うかもしれんけど、若い頃は、まさか50歳まで騎手を続けているとは思わんかったっていうのはある。園田時代は、なんせ30歳を過ぎた先輩たちはみんな“おっさん”に見えたし、「この人たち、いったいいつまで乗るんかな」と思ってたくらいやからね(笑)。
──50歳まで現役を続けた先輩は?
小牧 地方競馬全体でいえば今でこそけっこういるけど、当時はそんな人おらんよ。田中道夫さんも40ちょっと過ぎで辞めたし…。あ、石川昇さんは、確か53歳くらいまで乗ってたんかな。自分が資本やけど、あとは周りの反応がどう変わっていくかやね。だんだんだんだん「アイツは年やからなぁ」って言われるようになってくると思うねん。
──それは言われたくないですねぇ。
小牧 言われたくないけど、年齢が年齢やから仕方がない。まぁすでに今の時点で思われてるのかもしれんけどね。ただ、今はまだ、みんなよりは達者だと思う自分がいるから。だから続けられんねん。自信がなくなるのが一番嫌やね。
──では最後の質問です。「キタサンブラックがラストランを迎えます。キタサンブラックの強さは、小牧騎手の目にはどう映っていますか? また、有終の美を飾れると思いますか?」
小牧 一番の強さは先行力でしょう。さらに、その先行力を武器に自分のペースで競馬ができること。逃げにこだわらず、どんな競馬でもできるのは、ジョッキーとしたらすごく頼もしいよね。まぁ相手もいることやし、レース展開は生き物やから何とも言えんけど、先行有利の中山であの馬の競馬ができれば、いいレースができるんちゃうかな。
先行有利の中山でキタサンブラックの競馬ができれば、いいレースができるんちゃうかな
【お知らせ】1月2日、園田競馬の新春トークショー(場内ステージ・12時半頃を予定)に小牧騎手が出演します。はたしてどんな新年の抱負が飛び出すのか!? お楽しみに!