▲ netkeiba Books+ から「脳と体が活性化する競馬健康法」の1章、2章をお届けいたします。
いつまでも心身ともに健康な毎日を送りたい。誰もが思うことですよね。巷には、健康本が溢れ、健康をテーマにしたテレビ番組もたくさんあります。「予防は治療に勝る」といいますが、私の場合は競馬も予防策の一つです。楽しみながら実践できる、本当に強力な健康メソッドなのです。 (文:草野 仁)
第1章 競馬場は認知症予防に絶大
私は子供の頃から体を動かすのが大好きで、野球、陸上、相撲、剣道、ウエイトトレーニングと、様々なスポーツに親しんできました。現在も、家ではダンベルの上げ下げやエアロバイク運動は欠かしません。そのおかげで、71歳になった今も健康そのもの。ちょっと自慢したくなるほどの筋肉質の肉体も維持しています。
でも、それとは別に、私にはとっておきの健康法があるのです。もし、私のことを「年齢より若い」と言ってくださる方がいたとしたら、私は迷わずこう答えます。「それは競馬のおかげです」と。
「ギャンブルが健康にいいなんて、何を言ってるんだ」と思われてしまうかもしれませんが、週末競馬を中心にしたライフサイクルを50年近く送っている私が、それを実感しているのですから、間違いありません。
もちろん、スポーツジムに通って汗を流すのも悪くありません。でも、ジムに通うことが義務のように感じ始めると、だんだん億劫になり、忙しさにかまけて足が遠のいてしまいます。その点、競馬ならば健康のために運動するという義務ではなく、楽しみの結果として体を鍛えられる。これなら誰でも長続きさせることができるでしょう。さらに競馬場では、知らず知らずのうちに頭も使う。野外で光を浴び、心地よい空間でストレスも発散できます。
つまり、心と体と脳―――そのすべてを活性化させてくれるのが競馬なのです。
私はこれを「競馬健康法」と名付けています。
特に、認知症の予防には抜群の効果を発揮するので、高齢者の方にはお勧めです。アンチエイジングにもつながるため、美と若さを保ちたい女性の方にもぜひ実践していただきたいですね。
では、競馬の何が健康によいのか。ひとつずつ具体的にお話をしたいと思います。
至福の“楽園”
競馬場に行くたびに、まず感激することは空間の雄大さ、そして爽快感です。競馬場に着いて、通路からスタンドに出ると、眼下に拡がるのは、緑いっぱいの芝のコース。四季折々の季節感にも浸ることができます。
そこはまさに「癒しの空間」。日々のせせこましさや、ストレスなどは、競馬場に身を置くだけで、すぐに吹き飛び、ウキウキと心が弾んでくるのが分かります。
そして、そこに颯爽と現れるのが美しい姿のサラブレッドたち。走り抜ける馬たちの勇姿をライブで見た時の迫力と興奮は、ここでしか味わうことのできない醍醐味です。
(2章につづく)
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第2章 遠近視力回復法の実践の場
景色や馬に見とれていると、自然に、遠くに目をやっていることに気付きます。そしてこの行為は、視力回復に繋がっています。私たちの日常では、手元や近場を見ることばかりで、気付くと3m以上先は全く見ていないことがほとんどです。意識して遠くを見ようとしても、都会にはビルが立ち並び、室内では壁ばかり。遠くまで見渡せる空間など、どこにもありません。
だからこそ、競馬場で遠くを眺めることが大切なのです。さらに、手元の馬券と遠くのコースを交互に見れば、これはまさに遠近視力回復法の実践にもなります。
さらに、いったんレースが始まれば、今度は誰はばかることなく大声で応援することができます。普段の私たちは、周囲を気遣って、あまり大きな声を出す機会は持てません。でも、競馬場なら誰に遠慮する必要もなし。こうして大声を出せば、血行がよくなりますし、腹筋が収縮してお腹の働きもよくなります。
思い通りにレースが運んだ時には、喜びを爆発させて大いに笑う。笑いは副交感神経を刺激するため、免疫力が30%アップするという説もあるくらいです。
気付けば6千歩以上のウォーキング
その日のレースが始まる前に、私が必ず行くところ、それはパドックです。ここで馬を観察し、予想の専門紙と照らし合わせる。1つのレースで16頭いれば、16頭を細かく見るため、だいたい20分くらいかかります。
そして「この馬は専門紙には印がついていないけど、今日はこの子は元気があってよさそうだ」とか、「この子は踏み込みが逞しくていいな」と、自分なりの見方で判断する。
はじめに買おうと予定していた馬ではなく、専門紙で取り上げている馬でもないのに、「調子がよさそうだ」と感じた馬の馬券を買うことは、たびたびあります。それが当たる確率というのは、さほど高くはないのですが、時には2着や3着に入ったり、1着になることもある。こうなると、「自分が馬を見る目も、そう間違ってはいないんだな」と、自己満足に浸ることができ、とても嬉しくなってきます。
1日に12レースあると、パドックからスタンドまで12回往復することになります。実は、これがかなりの運動になるのです。
私はいつも万歩計を持って測っているのですが、たとえば中山競馬場でパドックから自分のいる3階席まで、12レース分の往復歩数を見ると、平均して6000歩以上は歩いています。発売の締切直前には、窓口まで走ることもあるので、これらを足すと7000〜8000歩くらいにはなります。家から競馬場まで電車で行くとしたら、その歩数も入れれば、優に1万歩は超える計算になります。健康のために歩く、1日分の歩数としては、充分すぎるくらいでしょう。
日常生活では、オフィスに籠っていたり、車の移動ばかりだったりで、歩く機会はそう多くはないものです。運動不足でメタボリック症候群が気になるなら、競馬場のパドックと座席の往復は、格好のウォーキングコースと言えます。これはまさしく心肺機能をよくする健康法なのです。
競馬を楽しむことで、寝たきり老人になってしまう不安を取り除く効果も期待できます。女性の場合、要介護の主な原因は骨折・転倒や関節疾患といった運動器障害の割合が全体の約3割を占め、男性の3倍にも上っているのです。女性の方には尚更ですね。
(続きは
『netkeiba Books+』 で)
- 脳と体が活性化する競馬健康法
- 第1章 競馬場は認知症予防に絶大
- 第2章 遠近視力回復法の実践の場
- 第3章 すべては競馬にひと一目惚れしたことから始まった
- 第4章 競馬予想で脳トレ
- 第5章 競馬は歴史を学ぶこと
- 第6章 律することの大切さを学ぶ
- 第7章 歳をとっても脳は老化しない