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【ファン感謝祭(4)】『福永祐一vsファン100人、祐言実行ライヴ』――シルバーステートについて教えてください!

  • 2017年12月26日(火) 18時01分
祐言実行

▲イベント中盤にはファンにプレゼントを手渡しする場面も


「2000勝達成を機に、これまで応援してくれたファンに感謝の気持ちを伝えたい」――11月23日(木)、そんな福永祐一騎手の思いが詰まったファン感謝祭イベントが、『LOFT9 Shibuya』にて開催されました。祐言実行では、当日会場にこられなかったファンのために、貴重なトークシーンの一部を全4回にわたって再現。今回は『福永祐一vsファン100人、祐言実行ライヴ』の後半をお届けします。最後は川田騎手から福永騎手への愛あるメッセージと、福永騎手からファンへの熱いメッセージが!

ゲスト:千鳥ノブさん、川田将雅騎手、MC:ビタミンSお兄ちゃん

(構成:不破由妃子)


無事に乗り続けてほしい一方で、早く調教師になってほしい



Q. 残念ながら、シルバーステートの引退が発表されました。応援していた馬なので、シルバーステートについていろいろお聞きしたいです。

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▲イベント前日に引退が発表されたシルバーステート (c)netkeiba.com


お兄ちゃん 昨日(11月22日)、報道があったばかりですね。

福永 (市川)海老蔵から「シルバーステート、残念だったな」ってLINEがきて初めて知った(苦笑)。

ノブ えー! そうなんですか!?

福永 うん。で、netkeibaのニュースを見て「ホンマや」と。復帰を目指して再チャレンジすると聞いていたので、また走れるようになって戻ってきてくれたら…と思っていたんだけど、厳しかったんでしょうね。これまで2回屈腱炎になって、また同じほうの脚だったらまだ望みはあったんだけど、今回は反対側の脚にきてしまったからね。

お兄ちゃん 以前イベントで、ファンから「今まで乗ってきた馬のなかで、一番すごかった馬は?」という質問を受けて、「シルバーステート」と答えてらっしゃいましたものね。

福永 たくさんいい馬に乗せてもらってきたけど、なかでもシルバーステートがダントツやった。

お兄ちゃん 重賞未勝利馬にしてダントツですか! 何が違ったんですか?

福永 エンジンが違ったね。

お兄ちゃん へぇ〜。新馬戦は2着で、たしかそのとき勝ったのは…。

川田 僕です(アドマイヤリード)。シルバーステートに関しては、めっちゃ走るって聞いていたんですけど、僕が乗ったアドマイヤリードもかなり期待が大きかった馬で。松田(博資元調教師)先生が、「どっちが強いか勝負したれ!」と(笑)。そういうところ、熱い先生なんですよ。でも、どちらも能力の高い馬ですし、今後のことを考えて、まだそれほど(馬)を作ってなかったんですよね。

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▲新馬戦では今年のヴィクトリアM(GI)を制したアドマイヤリードと対戦 (c)netkeiba.com


福永 そうそう。新馬戦の前はね、やればやるだけ時計が出てしまうから、脚元がもたないだろうということで全然追い切れなかった。

お兄ちゃん でも、競馬にいけば、当然お互いに1着を目指さなければいけない。結局、最後は3着以下を引き離しての追い比べになって、アドマイヤリードがアタマ差で勝ったわけですが。

福永 うん。で、その新馬戦のあとね、調教師(藤原英昭師)に「2戦目は中京2歳Sを使って」って言ったの。

ノブ 未勝利馬なのに?

福永 そう、絶対に勝つからって。でも「お前、アホか!」って言われて(笑)。実際、未勝利戦は中京2歳Sより速いレコードで勝ったんだけどね。引退は残念だったけど、種牡馬になれるということなんで、それは本当によかったなと。

ノブ 産駒が楽しみですね、ホントに。

福永 種牡馬としての成否は遺伝力次第だと思うけど、成功できるくらいのポテンシャルは十分に持っていると思うので、すごく楽しみですね。


Q. ディープインパクト以外で、一度でいいから乗ってみたかったと思う馬は?


福永 ん〜、オグリキャップかな。オルフェーヴルとかもすごい走りをするんだろうけど、なんかね、想像がつくというか。その点、昔の強い馬は想像がつかないから、より興味が湧く。たぶんね、乗り味は決してよくなかったんじゃないかと思うの。でも、スピードに乗ったらすごいとか、そんな感じなんちゃうかなぁって。

お兄ちゃん なるほど〜。川田ジョッキーはどうですか?

川田 その括りでいけば、トウカイテイオーですね。

福永 トウカイテイオーは、昔の馬のなかでも乗り味がいいタイプやろうな。

川田 そう思います。実際、「めちゃめちゃ乗り味がよかった」と聞くので。

お兄ちゃん そっか。川田ジョッキーの師匠(安田隆行調教師)が乗ってはったんですものね。

川田 そうなんです。昔の馬で、あれだけキレイな跳びをしている馬が、一体どういう乗り味をしていたのか。すごく興味がありますね。

福永 あと、エネイブルにも乗ってみたいなぁ。エネイブルそのものに興味があるというより、凱旋門賞を勝てる馬がどういう馬なのかを知りたい。どういう走りをする馬が、あの舞台で結果を出せるのか。すごく興味がある。

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▲福永「どういう走りをする馬が、あの舞台で結果を出せるのか。すごく興味がある」(撮影:高橋正和)


川田 ヨーロッパの走る馬って、一見するとみんな硬そうなんですよね。だから、たしかに僕も乗り味は気になります。

お兄ちゃん エネイブルが勝った凱旋門賞には川田ジョッキーも騎乗されていましたけど、馬場がけっこう悪かったんですよね。

川田 はい。でも、向こうの馬にとっては普通に走れる馬場だったと思います。

ノブ そうなんや。日本の馬場とは基本的に違うんやね。

福永 そういう馬場で走っているから、向こうの馬はみんな頭が高い走りをするもんね。

川田 そうですね。たとえるなら、サーキットで速い馬が日本の馬で、ラリーで強いのが向こうの馬。だから必然的に走りも変わってきますよね。

ノブ なるほど〜。それはわかりやすい。マクラーレンホンダの車がパリダカールラリーに出るようなもんなんや。

川田 トップスピードは日本の馬のほうが速いんですよ。でも、ズルズルと滑ってしまうので、トップスピードまで持っていけないんですよね。

ノブ そうかぁ。エネイブルといえば、僕も現地で見ましたけど、日本の馬とはトモとか全然違いましたよ。なんていうのか、ケンタッキーのチキンみたいな(笑)。筋肉がブリッと出ていて、締まるところはキューッと締まってるみたいな。

お兄ちゃん ケンタッキーって鶏ですやん(笑)。

福永 でも、エイダン・オブライエンが日本の馬を見て、「なんでみんなあんなに太ってるの?」って言ってたらしいよ。

お兄ちゃん えっ? 向こう馬のほうが太くて、デカいイメージなんですけど。

福永 ん〜、どちらかというと、ブリッとしてるのは日本の馬じゃないかな。まぁ、松田博資厩舎の馬は、細い馬が多かったけど。

川田 ブエナビスタにしても、姿かたちだけでいったら全然走る馬に見えませんでしたからね。でも、松田厩舎の馬は、そういうタイプの馬が走ったんです。ジョワドヴィーヴルも華奢でしたし。

福永 そうそう。無駄肉が一切付いてないんだよな。

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▲福永騎手が騎乗し、キャリア1戦で阪神JF(GI)を制したジョワドヴィーヴル (c)netkeiba.com


お兄ちゃん それは、松田先生があえてそういうふうに作っていたということですか?

川田 あえて作っていたというより、松田厩舎のやり方で馬を仕上げていくと、そういう作りになるんだろうと思います。

福永 厩舎は違うけど、ワグネリアンがそれに近いよね。乗り味は決してよくないけど、無駄肉が付いてなくて、効率のいい走りをする。だから、たとえば馬場が悪くても、全然脚を取られないし、走りのバランスも崩れない。ここまで3戦乗ってきて、こういう馬が凱旋門賞の馬場に対応できるんじゃないかって思った。

ノブ いいね! 凱旋門賞、行きましょう!

お兄ちゃん これは楽しみがまた増えましたねぇ。さて、そろそろ終わりの時間が近づいてまいりましたが、川田さん、改めてこのイベントに参加されていかがでしたか?

川田 2000勝という大きな区切りに立ち会えて、またこういったイベントにも参加させていただいて、改めて祐一さんの大きさというものを感じました。これからも無事に乗り続けてほしいなと思う一方で、早く辞めて調教師になってほしいなとも思います(笑)。そのときがきたら信頼して任せてもらえるよう、もっともっと頑張って巧くなりたいです。

お兄ちゃん では、最後に福永ジョッキー、締めのご挨拶をお願いします。

福永 みなさん、今日は本当にありがとうございました。デビューしてから22年、本当にアッという間で、残された騎手人生がどれくらいあるのか自分でもちょっとわからないんですけど、最近は「支えてくれる人、応援してくれる人たちの思いがあるから、自分は騎手を続けられている」と、より強く思うようになりました。だから、応援しがいのあるジョッキーでいたいし、もっと結果で応えたいという思いで日々取り組んでいます。至らないこともありますが、僕が勝ったときには、その喜びをたくさんの人と共有できるような騎手人生をこれからも歩んでいきたいです。改めまして、今日は本当にありがとうございました。今後とも応援よろしくお願いします!

(文中敬称略、了)
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祐言実行とは
2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。

1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。

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