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【M.デムーロ×C.デムーロ】第4回『クリスチャン騎手“将来はJRAのジョッキーになる”』

  • 2018年01月31日(水) 18時01分
with 佑

▲クリスチャンの“JRA志望”とミルコの野望が明らかに!


デムーロ兄弟との対談企画も今回が最終回。最後のテーマは佑介騎手が「しっかり者の兄と超シャイな弟」と表現する、正反対なふたりの性格について。感情の波が激しいミルコと切り替え上手なクリスチャンのメンタリティをそれぞれのエピソードから掘り下げます。さらに将来的な目標や夢を語り合う後半では、クリスチャンが“JRA志望”を明言。その話題をきっかけにミルコの大きな野望も明らかに!(構成:不破由妃子)


ミルコ「朝起きた瞬間に今日がいい日かダメな日かわかる」



佑介 さっき「ちゃんとトレーニングをするように」ってミルコからアドバイスがあったけど、クリスチャンからは、兄として“もっとこうしてほしい”とか何か要望はある?

クリスチャン それはもうありすぎる(笑)。何度も話に出ているけど、とにかく感情の波が激しいから一定にしてほしい。

ミルコ 僕だってその点はわかっているし、変わりたいと思ってるんだよ。でもできない…(苦笑)。

佑介 この前も競馬のあと怒ってたもんね。「ミルコ、また怒ってるなぁ」と思って見ていたら、「あー! もうムカつくッ!」って叫ぶから、「完全に日本人じゃん」と思って笑っちゃった(笑)。

ミルコ 子供の頃から変わらないからね。感情の波とはちょっと違うけど、自分自身の“その日の波”も、朝起きた時点ですぐにわかる。「今日はちょっと嫌な予感がするな、乗りたくないな」と思った日は、実際にまったく勝てなかったり、騎乗停止になったり。起きた瞬間に今日がいい日かダメな日かわかっちゃうんだよね。

with 佑

▲「起きた瞬間に今日がいい日かダメな日かわかっちゃうんだよね」


佑介 そういえば、僕も落馬したときと騎乗停止になったときは、どちらも前の日に乗り替わりの夢を見たことがあるな。

ミルコ やっぱりそういうのってあるよね。第六感が働くというか。だから、あまり波がないジョッキーが不思議でしょうがないよ。僕なんて、ダメな日は本当に最悪だから。

佑介 でもさ、ミルコが土日でひとつも勝てなかったら“リズムが悪い”って言われてしまうかもしれないけど、僕も含めて大抵のジョッキーは、ひとつも勝てない週なんて珍しくないわけで。それはもう、トップジョッキー特有の悩みだよね。それに、人間なんだから、ウィークポイントがあるのは当たり前。マシン以外、パーフェクトなんてあり得ないんだから。クリスチャンだって、普段は……ねぇ(苦笑)。こういう取材だって、すぐに飽きちゃうし。

クリスチャン 飽きてるんじゃなくて、リラックスしてるんだよ(笑)。基本的に、競馬のとき以外はボーっとしてることが多いし。

ミルコ クリスチャンは、そのあたりのオンとオフがしっかりしてるよね。僕なんて、普段も競馬のことで頭がいっぱいになって眠れないっていうのに(笑)。

佑介 兄弟でも本当にタイプが違うよね。僕から見ると、「しっかり者の兄と超シャイな弟」っていう感じだけど。

ミルコ 当たってる、当たってる。性格が全然違うから、3時間以上一緒にいたら絶対にケンカするし。

佑介 たしかに、よく口喧嘩してるよね(笑)。イタリア語でやり合ってるから、内容は全然わからないけど。でも、大体はどうでもいいことでしょ?

クリスチャン そうそう(笑)。佑介が言うように、僕は昔からシャイなところがあるけど、ミルコとの口喧嘩は僕のほうが強いよ。

クリスチャンの目標、ミルコの夢



佑介 そうなんだ(笑)。では、最後にですね、今後の目標などを伺って締めたいと思っているのですが、クリスチャンの当面の目標は、やはりフランスでトップになること?

クリスチャン そうだね。とりあえず今年は、フランスでトップ3に入ることが目標。でも、将来的な目標は、JRAのジョッキーになることかな。

with 佑

▲「今年はフランスでトップ3に入ることが目標。でも、将来的な目標はJRAのジョッキーになることかな」


ミルコ それは僕にとっても夢だね。やっぱりクリスチャンと一緒に乗りたいから。

佑介 でも、クリスチャンがJRAのジョッキーになったら、ミルコはトレーナーになるんでしょ?

ミルコ うん、できればトレーナーになりたい! 今はまだ、それが可能になるルールはないけどね。JRAのジョッキーになる前にさ、まずは凱旋門賞を勝ってよ。あ、今年は僕が勝つからダメだよ。僕の夢はね、日本の馬で凱旋門賞を勝つことだから。

佑介 凱旋門賞かぁ。クリスチャンから見て、凱旋門賞を勝てる馬ってどういう馬だと思う?

クリスチャン 日本の馬でいうと、シュヴァルグランが一番だね。あと、スワーヴリチャードも当てはまってくるかも。

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▲凱旋門賞を勝てる馬は?「日本の馬でいうと、シュヴァルグランが一番。あと、スワーヴリチャードも当てはまるかも」(撮影:下野雄規)


ミルコ やっぱりスタミナがある馬が適しているよね。たしかに馬場適性も大事だけど、本番の前に向こうで走ればすぐに慣れるし。

クリスチャン そうだね。その前に、まずはフランス式にトレーニングを変えたほうがいいと思う。日本は調教の段階で速い時計を出すでしょ? でも、調教の時点で下(馬場)が違うから、そこで馬が疲れてしまう。フランスに適応させるには時間が掛かると思うから、もっと長いあいだフランスにいて、フランス式のトレーニングをしながらリラックスさせて。そうすれば、日本の馬でも勝てるよ。

ミルコ 僕もそう思う。ところで、佑介の今年の目標は?

佑介 ケガをしないこと、休みなく乗り続けること。あとはGIを勝ちたい! 何年か後には、クリスチャンが通年免許でくるわけでしょ? そうなると、ますます厳しくなるわけで…。

クリスチャン フランスで乗りながら日本語を勉強したり、徐々にいろいろな準備をしていきたい。すでにリスニングから勉強を始めてるよ。

佑介 日本語はミルコに教えてもらうのが一番早いんじゃない? クリストフとミルコなんて、最近はゲート裏でも日本語で話してるからね。この前も、ふたりの会話を聞いていたら、「その馬、何厩舎?」「あ、この馬? 角居厩舎だよ」とか全部日本語で話してて、ちょっとビックリした(笑)。

クリスチャン 僕もミルコに教わるのが一番だと思ってるんだけど…。

ミルコ 教えない!

クリスチャン そう、なぜか教えてくれないんだよ(笑)。

佑介 そうなんだ(苦笑)。今日は忙しいなか本当にありがとう。くれぐれも帰り道で喧嘩しないようにね!

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▲「今日は忙しいなか本当にありがとう。くれぐれも帰り道で喧嘩しないようにね!」


(文中敬称略、了)
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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