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ツヅミモン 牝馬版キタサンになる!?/吉田竜作マル秘週報

  • 2018年02月07日(水) 18時00分


◆シンザン記念でも見せた持続的なスピードが売り

 記者のような団塊ジュニア世代にとって、競馬の入り口は「ダービースタリオン」だった。友達同士で育成した馬を持ち寄って、誰の馬が一番強いかを競った思い出がある方も多いことだろう。

 浪人中にたまたま再会した中学の同級生Tは理系らしく、独自に実験を重ね、やれることをつきつめた末に、「距離適性の短い種牡馬を2代続けて配合し、3代目(この当時のダビスタでは3代目までしか血統をつなぐことができなかった)に“安定のパラメーターがC”の馬を配合する」独自の理論を発見した。Tの言う手順でゲームを進めていくと…。いわゆる“画面から消える馬”が誕生したのだ。

 もちろん、あっという間に対策が施され、次回作では通用しなくなったのだが、このゲーム上の「スピードこそが競馬を制する」的な攻略法は、未来を暗示していたのかも…。ここ最近、似たようなフレーズをやたら耳にするのだ。

 まずは昨年の有馬記念直前のことだ。スワーヴリチャードの最大のセールスポイントが何かを庄野調教師にうかがったところ、「新馬戦では2着に負けはしたけど、あの時の瞬発力(上がり33秒9)はすごいものがあった。あれを見て思ったね。この馬の最大の売りはスピードだって。トップスピードがすごいから、大舞台でも戦える」

 さらに先週の東京新聞杯に出走したカデナ取材時のこと。中竹調教師もまた「今の競馬はやはりスピードがなくてはダメ。その上で距離が持つか、操作性があるか、という話になってくる。例えばダコール(15年新潟大賞典制覇)だって、見た目は胴が詰まっていて、距離が持つようには見えなかった。それでもやり方ひとつで持つようになったからね」

 何より2年連続で年度代表馬に輝き、ターフを去ったキタサンブラックの競走生活こそが「スピードなき者は去れ」を体現していた。「母父がサクラバクシンオーだから、いずれ距離が…」などと侮る声をあざ笑うかのような快進撃を続けたのだから…。特に上がりを伸ばすスタイルを“良し”とする日本において、スイスイと先行して押し切る馬は馬券的にも実に魅力的な存在だ。

 クイーンCにエントリーしているツヅミモンは、実は本番の桜花賞で狙ってみたいと思っている馬だけに、ここは“おとなしくしていてほしい”のが本音なのだが、どうもその高い性能を隠し切れそうもない。1週前の坂路では4ハロン51・6-12・5秒の好時計を楽々マーク。「追い切りはもともと動くからね。馬体も変わりなくきているし、順調そのもの」と藤岡調教師もご機嫌だった。

 僚馬リリーノーブル(阪神JF2着)の売りが非凡なセンスと瞬発力なら、こちらは持続的なスピードが売り。前走のシンザン記念でも番手からの2着粘走で、その一端は見せた。本番でも有力どころが急坂を意識してじっくりと乗られて踏み遅れるようなことがあれば、勝利の女神はこの馬に…と見ているのだが、陣営にしてみれば、桜花賞出走へ向けて、賞金を確実に積み上げておきたいのが本音だろう。

「シンザン記念は切れ味の差で(アーモンドアイに)完敗したが、ウチのも止まってはいなかったからね。東京のような広いコースは合いそうな気がする。ここを使って桜花賞へ直行する予定。いい形で駒を進めたい」(藤岡調教師)

 ハードトレーニングで培ったスピードの持続力を売りに快進撃を続ければ、まさに“牝馬版キタサンブラック”。まずはクイーンCの走りに注目してほしいような、ほしくないような…。

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関東・舘林勲、大阪・松浪大樹の本紙予想のほか、記者による好評コラム(「一撃・山河浩、馬匠・渡辺薫など)、そして競馬評論家・井崎脩五郎、爆笑問題の田中裕二、IK血統研など超豪華執筆陣の記事も読みごたえたっぷり。馬券作戦に役立つ情報が満載です。

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