◆スピードの爆発力を生かせそうな舞台設定
まだキャリアは浅く【4-0-0-3】にとどまるが、12月の中山の市川S1600m(1600万下)を強烈な末脚で勝ってきたデアレガーロ(父マンハッタンカフェ)の切れ味に注目したい。
高速の芝で、勝ちタイムは1分32秒5「46秒4-46秒1」だった。2ハロン目から7ハロン連続して「11秒3-11秒6」の高速ラップが続き、スタート直後の1ハロン12秒5をカットすると、7ハロン「1分20秒0」の高速レース。レース上がりは「11秒5-11秒6-11秒6」=34秒7だった。
これを後方に位置したデアレガーロは、4コーナー手前から一気にまくって出て、高速のレース上がりを1秒4も上回る「33秒3」で差し切っている。
デアレガーロ自身の推定上がりは「11秒3-11秒0-11秒0」に限りなく近い。最後は11秒0を突破していたかもしれない。高速馬場とはいえ、急坂の中山で11秒そこそこのラップを3ハロンも連続させた加速力は、条件さえ合えば、たちまちオープンでも通用のスピード能力の爆発である。
良馬場見込みの京都。外回りの1400mで直線は平坦。牝馬同士の12頭立てで乱ペースはない組み合わせ。54キロの別定ならフルに爆発力が生かせそうである。池添騎手はテン乗りになるが、今年はこの中間も美浦に来ていた。14日のデアレガーロの最終追い切りに乗っている。直線、はじけるように伸び、差す池添騎手向きのタイプである。
母は輸入馬スーヴェニアギフト(その父スーヴェニアコピーは、ミスタープロスペクター直仔のスピード型)。この牝系ファミリーは日本でもよく知られ、デアレガーロから数えた3代母エクセレントギフト(これも輸入牝馬。父シアトルスルー)は、ドクターデヴィアス(英ダービー)、アーチウェイ(愛チャンピオンスプリンター)、シンコウキング(高松宮杯)、ローズオブスズカ(高松宮記念のスズカフェニックスの母)などの母になるローズオブジェリコ(父アレッジド)の半妹にあたる。
欧州のスプリンターは多くがスタミナ兼備型なので、日本やアメリカ風にくくる考え方は意味がなく、英ダービー馬ドクターデヴィアスの父アホヌーラはスプリンター色が濃く、そのドクターデヴィアスは種牡馬となって長距離型を出す一方で、同時にスプリンター型の父でもあり、詰まるところ日本向きではなく、逆輸出された。
ただ、デアレガーロの母方はパンチあるスピード系。スピード型を出すこともあるマンハッタンカフェと絶妙にマッチしたと考えたい。リボー系アレッジドの「4×3」を持つあたり、デアレガーロはかなり危ないタイプだが、うまくツボにはまると大物になる可能性十分である。だから、ここまで【4-0-0-3】でもあり、惜しい敗戦などない。