記憶に残る女王たちが制している戦いを制するのは?
2月28日(水)川崎競馬場で行われる『第64回エンプレス杯(JpnII)』は、かつて『キヨフジ記念』という名称で行われていたレース。今ではサブタイトルになっているキヨフジは川崎競馬出身で1951年、第12回オークスを制覇。地方競馬出身で初めてJRAのクラシックを制した名牝。その血をひくスターライヒ(1981年・第28回)とガールライヒ(1985年・第32回)は曾祖母の名が冠された『キヨフジ記念』を優勝しています。1991年に現在のエンプレス杯に名称が変わってからも勝ち馬にホクトベガ、ファストフレンド、トーセンジョウオー、ラヴェリータなど記憶に残る女王たちが制している歴史ある戦い。今年その名を刻むのはどの馬か、注目の一戦です。
牝馬重賞戦線の主役になれるか、アンジュデジール
アンジュデジールは昨年6月、ダートグレード競走初挑戦だった関東オークスで2着に好走したのち、続く7月のスパーキングレディーCで重賞初制覇。その後10月のレディスプレリュード3着、JBCレディスクラシック5着、クイーン賞2着。タイトルこそ1つですがダートグレード競走5戦の成績は【1-2-1-1】、馬券圏内を外したのはJpnIのJBCレディスクラシック5着のみ。更なる成長が見込める4歳馬だけに、重賞を制した川崎コース、関東オークスで2100mの距離も経験済みというのは心強い限り。今年の牝馬重賞戦線の主役になるためにも是非とも欲しい2つ目の重賞タイトル。かつてホクトベガで1995年、1996年のエンプレス杯を制している鞍上・横山典弘騎手は3度目の勝利を狙います。
重賞2勝目を狙うアンジュデジール(写真は2017年スパーキングレディーC優勝時、撮影:高橋正和)
プリンシアコメータは昨年のJBCレディスクラシックでララベルの2着。その後12月のクイーン賞を制し重賞初制覇。不良馬場で行われた前走・TCK女王盃は6着に敗れましたが、馬場状態や展開など敗因は明確。川崎コースは初めてですが、2100mは東京コースで4戦して【1-1-0-2】と経験済み。距離延長の不安はありません。こちらも牝馬戦線を引っ張っていく1頭で、当然勝ち負けを演じるでしょう。
距離延長も不安なしのプリンシアコメータ(写真は2017年クイーン賞優勝時、撮影:武田明彦)
ミッシングリンクは昨年12月にダート路線に転向後3戦目、1000万下勝ちからの格上挑戦でいきなりTCK女王盃を制覇したこの路線のニューヒロイン。スタートセンスのある馬でダートでも逃げていましたが、TCK女王盃では他馬を意図的に行かせて3番手からの競馬でも快勝。レースの幅を見せての重賞初制覇でした。今回も前走勝利に導いた戸崎圭太騎手とのコンビ。戸崎騎手は昨年ワンミリオンスで制しているので、自身の連覇もかかります。
格上挑戦でいきなりTCK女王盃を制覇したミッシングリンク(写真提供:TCK)
忘れてはいけない昨年の覇者ワンミリオンス。エンプレス杯のあとはマリーンC(6着)、JBCレディスクラシック(4着)2戦のみで順調に使えていない不安はありますが、昨年のTCK女王盃を含めダートグレード競走を2勝していてメンバー中実績ナンバーワン。復活の勝利を目指します。
昨年の覇者ワンミリオンス(写真は2017年エンプレス杯、撮影:高橋正和)
サルサディオーネは昨年8月の新潟・レパードSの2着馬。近走はテイエムジンソクら歴戦の牡馬たちに混じっての厳しい戦いが多く大敗続きでしたが、牝馬限定戦ですんなり自分の競馬ができれば上位争いも可能。人気の盲点になりそうな1頭です。
地方馬の筆頭はラインハート
エンプレス杯は近年JRA勢が上位を占めていますが、2005年プルザトリガー、2006年ローレルアンジュ、2007年トーセンジョウオーと地方所属馬が3年連続で勝利したこともあるレース。昨年はリンダリンダが2着に健闘しました。
今年の地方馬の筆頭はラインハート。JRAから昨年秋に大井に転入。初戦のJBCレディスクラシックは8番人気で3着に入り波乱を演出。続くクイーン賞も3着、東京シンデレラマイルは7着でしたが、TCK女王盃も3着。必ず直線で伸びてくる末脚は頼もしい限り。移籍後ここまでダートグレード競走で3戦続けて3着と惜しい競馬続き。2100mは初めてですが、父ステイゴールド、母父クロフネで距離延長は血統的には問題なし。2007年トーセンジョウオー以来となる地方馬による勝利なるか?ゴール前での応援に力が入ります。
昨年秋にJRAから大井に転入したラインハート(写真は2016年北九州短距離S優勝時)
ステップオブダンスは昨年の関東オークスで3着、ロジータ記念制覇と川崎の2100m戦で好成績。ワンミリオンス、サルサディオーネと同じゴールドアリュール産駒。相手強化の舞台となりますが、ここで好走するようなら今後が楽しみになる4歳馬です。
ゴールドアリュール産駒のステップオブダンス(写真は2017年ロジータ記念優勝時、撮影:高橋正和)
実力とスタミナが要求される2100mで争われる長距離重賞。現状絶対的な存在が不在で勝ち馬が目まぐるしく変わっているダート牝馬重賞戦線。今年の主役に躍り出るのはどの馬か?各馬にチャンスありの混戦模様と言っていいでしょう。
※次回の更新は3月13日(火)18時。翌日に船橋競馬場で行われる「ダイオライト記念」のコラムをお届けします。
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中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。