レース予想を覆すもの、それは様々あります。昔からよく言われてきたことで、それとはっきり分かるシーンが、前日の京王杯スプリングCでありました。
良馬場で明らかに速いタイムが考えられる馬場コンディションの中、レース直前になって降り出した雨、それもかなり急激な降りでした。スタートを切った時はいくらか小降りになったのですが、どう見ても上滑りのする状態で、直線末脚を伸ばす有力馬にとっては不利。これは異様な状況とレースを追っていました。
前半、後半の3ハロンは、34秒1と34秒8とほぼ同じペースで、ウインラディウスが勝った去年の33秒8、34秒9とは大違い。逃げたニシノシタンが5着に粘り、これを見てインの4番手から抜け出したアサクサデンエンが1分20秒3のレコードで勝った他、2着オレハマッテルゼもその直後にいました。つまり、行き脚をつけた先行勢が緩みないペースを乗り切り、これを追いかけた差し馬たちが脚を伸ばせずに終わったということでした。
雨の降り始めが一番走りにくいとは、よく言われてきたことで、脚質によっては絶対に不利というシーンは、これまでも見てきました。予測しがたい天候異変の中でも、こういうケースはどう仕様もないでしょう。
しかも、だからと言って時計が遅くなるわけでもなく、今回3、4着に入線したテレグノシス、アドマイヤマックスはよく走ったと言えます。まして千四百米という距離でしたから、これが精一杯と見られます。もし上滑りする馬場でなかったら差し馬の勢いはもっと出たでしょう。
これもひとつのレースで、今回の馬場状況はしっかりと記憶しておくべきでしょう。それにしても京王杯スプリングCは、速い決着が続きます。1分20秒台というのが、今後の勝ち馬の基準と考えられ、一気に突っ走る速いレースと見ていくべきでしょう。