◆昨年後半から現4歳馬の攻勢はすごい
ビッグレースの前哨戦として組まれてきた金鯱賞は、時期が変わったことが多いうえ、新中京コースになっての回数も少なく、レースのパターンはないに等しい。しいてあげれば、GI大阪杯の前哨戦になったので、メンバーの中にGI級が複数含まれるようになったこと。
もうひとつ、今年の場合は、ここまでに行われた古馬の芝のGII別定戦は、「アメリカJCC→京都記念→中山記念」の3つ。エース級が出走して実力勝負に持ち込まれるGIIレースは、すべて「4歳=4歳」の1〜2着だったことか。世代レベルというほどのことはないが、昨年後半から現4歳馬の攻勢はすごいのである。
人気でも、馬体に迫力が加わり、充実期を迎える古馬らしいバランスが整ったスワーヴリチャード(父ハーツクライ)に期待したい。
右回りは合わないとする見方もあるが、それはあまりスムーズではなかった3歳春の皐月賞当時のことで、有馬記念のあとでデムーロ騎手が振り返ったように、決して右回りに不安があるわけではない。
もし、右回りが不得手だとしたら、何回もコーナーを通過する有馬記念の「0秒2」差は大変なことで、4着とはいえ、実力で上回ったのはスワーヴリチャードだったと認めるのに等しいだろう。
有馬記念の4着は、外枠のためいい位置につけることができず、前半は最後方の集団で追走。スパートしたのは3コーナーからだった。中山の3コーナー手前は残り800mに近い。あそこからロングスパートすると、どんな名馬でもだいたいは止まる。もっとも苦しいところに急坂が待っているから。有馬記念の歴史にはそういう馬が何頭もいるが、コースの特徴だから仕方がない。
スワーヴリチャードには、外々を回ったロスもあった。右回りが不得手なら、あんなレースはできない。
負けたデムーロ騎手が右回りに不安があるわけではない、と、それを敗因にしないのだから、これは真実なのである。春はこのあと右回りのビッグレースが連続するが、ここで好発進できるなら、次のビッグレースでも評価を下げる必要はないということでもある。
スワーヴリチャードは、ここまでに苦しい日程を組んでいないから、活力を消耗していないのも、大きな強みになる。父ハーツクライが本物になって有馬記念を制したのは4歳時。ドバイ、イギリスに遠征して快走したのは5歳になってからである。同じような成長カーブを描いてくれることを期待したい。
アルゼンチン共和国杯を見ると、予測される緩い流れならスワーヴリチャード(デムーロ)は早めに好位につけることも、進出することも可能。キチッと答えを出したい。
相手本線は、東スポ杯でスワーヴリチャードを差し切っているブレスジャーニー(父バトルプランは、エンパイアメーカーの代表産駒)。間違いなく、左回りのほうが合う。
阪神のフィリーズRは、1400mまでなら距離不安はないとみて、アンヴァルから流す。