◆究極の爆発力勝負を制した前走は圧巻
皐月賞に出走希望馬の賞金ボーダーラインは現在のところ「1150万から1200万」なので、この重賞で1、2着するとどの馬でも皐月賞に出走できる可能性がある。現時点で条件賞金900万の2勝馬なら、皐月賞に出走ほぼ当確である。
もっとも、過去20年、毎日杯を最終ステップにして皐月賞で3着以内に好走したのは、
▽2017年のアルアイン「毎日杯1着→皐月賞1着」
▽1999年テイエムオペラオー「毎日杯1着→皐月賞1着」
の2頭だけであり、可能性は非常に低い。
ただ、日本ダービーとなると、毎日杯に出走していた馬の中から過去20年、
▽2014年マイネルフロスト「毎日杯1着……ダービー3着」
▽2013年キズナ「毎日杯1着……ダービー1着」
▽2008年ディープスカイ「毎日杯1着……ダービー1着」
▽2006年アドマイヤメイン「毎日杯1着……ダービー2着」
▽2004年キングカメハメハ「毎日杯1着……ダービー1着」
▽1999年テイエムオペラオー「毎日杯1着……ダービー3着」
▽1998年ボールドエンペラー「毎日杯3着……ダービー2着」
皐月賞や、NHKマイルCを経由しての馬も多いが、日本ダービー快走馬が「7頭」もいるのである。今年、2月ごろにはいっぱい存在した有力馬が、弥生賞のダノンプレミアム、ワグネリアンを別にすると、やや怪しくなっている。毎日杯組を日本ダービーに向けて…の視点でとらえておくことが必要である。
2004年のキングカメハメハが、「母の父」として重要な役割を果たす時代になっている。クラシック路線では、昨年の牝馬モズカッチャン(父ハービンジャー)に続き、この世代は前出のワグネリアンを筆頭に、路線重賞で好走しているステイフーリッシュ、イェッツト、毎日杯出走の「インディチャンプ、ブラストワンピース」、キタノコマンドール、メサルティム…など、これから強くなりそうな候補がどんどん増えている。
毎日杯は、インディチャンプの切れ味に注目。種牡馬ステイゴールドの事実上の最終世代になるこの馬、母ウィルパワーは、ネオリアリズム、リアルインパクトなどの半姉にあたる勢いのあるファミリーであり、2連勝となった前回が切れた。
スローの1600mのため、京都内回りの最後の直線は、レースラップ「11秒3-11秒0」の究極の爆発力勝負だった。これを4コーナーまで10頭立ての最後方にいたインディチャンプは、一番外に回ってまとめて差し切ったのである。上がり3ハロンにしてしまうと33秒8(レース上がりは34秒8)だが、スパートしたのは直線だけ。同馬は推定「10秒5-10秒8」くらいの爆発力を、必死に追ったのではなく、楽々と記録したのである。
キングカメハメハのパワーにステイゴールドの鋭さが重なっている。坂の阪神でどんなレースができるかに注目したい。ブラストワンピースは前回の東京2400mを後方から一気に差し切って4馬身差の独走。上がり34秒0。モズカッチャンではないが、ハービンジャーと一番合うのはキングカメハメハなのかも知れない。すでにダービーの伏兵である。