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サラリーマンでも手が届く! 地方競馬で充実した馬主ライフを!

  • 2018年03月30日(金) 17時00分
森内智也

3月29日、名古屋4Rで勝利をあげた森内氏個人所有のシハツレッシャ。先行して押し切る強い内容で通算4勝目をマークした。



競馬ファンなら、一度は憧れるのが「馬主」というステータス。自分名義の馬が勝利するのは何事にもかえがたい、まさに馬主冥利に尽きる瞬間といえる。中央競馬の馬主は敷居が高く、なかなか手が届かない高嶺の花であるのに対し、地方競馬の場合は一般のサラリーマンでも、少し背伸びをすれば「馬主」になることは可能だ。そんな夢をかなえた馬主3年目の森内智也さんに地方競馬、そして馬主としての魅力を語ってもらった。

森内さんを虜にした地方競馬の魅力とは?



————森内さんと地方競馬の接点は?

「父が競馬好きで、その影響で何となくですが、幼少期に競馬を見ていたのは覚えています。本格的に興味を持ち始めたのは学生時代で、キッカケは周りの友達のオグリキャップブームに流されたからです。もともとがあまり世間には知られていないものを発掘することが好きな性格なので、オグリキャップよりもイナリワン、イナリワンよりもロジータ、ロジータよりも・・・という感じで、競馬を始めた当初から地方競馬には親近感がありました」

————そんな森内さんを惹きつける地方競馬の魅力とは何だったのでしょう?

「競馬に興味を持ち始めた90年代初期に好きだったトウケイニセイやツキノイチバンがそうでしたが、脚元が悪かった馬でも時間をかけて競走馬として成功させていく姿に感銘を受けたことで、地方競馬にハマっていきました。
 数年前の話になりますが、某クラブ法人で出資していた馬が中央競馬では結果が残せず、名古屋競馬に移籍したことがありました。そこで角田調教師のもとで大事に仕上げていただき、勝利を重ねると、再び中央競馬に戻ってからも何勝かして、引退まで競走馬としての使命を全うさせていただけたことがあります。生産牧場における状況は、私が競馬に興味を持ち始めた当時とは大きく変わってきており、地方競馬に入ってくる頭数も少なくなってきていますが、競走馬を大切にする土壌は今でも変わっていないと感じました。
 どんな馬にも時間をかけて、競走馬として走り続ける環境を与えてくれる、それが地方競馬の大きな魅力だと思います」


森内智也

勝利後に撮る関係者との口取り写真は、まさに至福のひと時といえる。(右から2人目)



“馬主”になれたのは、さまざまな人たちの協力があってこそ



————馬主になるキッカケはあったのですか?

「老後の夢といいますか、将来的に馬主になれたらとは考えていました。そんなこともあり、数年前よりクラブで何頭か出資をしはじめたのですが、どうしてもこちらは受け身でしかいられませんから、レースの選択や放牧の頻度などについて、思い通りにならないもどかしさが増えていきました。それこそ、未勝利戦で1〜2回使われた後、走れるレースが無くなって引退ということもありました。
 そんな愚痴を知り合いの馬主に話したところ、『それだったら、個人で馬を持ったほうが楽しめるぞ』と、アドバイスされたことが馬主資格取得の直接のキッカケです。最初の頃はさまざまな不安もあり、躊躇し続けたのですが、『馬名にミクリンとかマチャリンとか、私がリリポンとか名付けたように思い入れのある名前を付けて走らせたくないか?』と煽られてその気になってしまい、最終的に馬主申請をしました」


————最初の頃に抱いていたさまざまな不安とは?

「率直にいえば資金面ですね。馬主がどれぐらいの費用を負担しているのかは、ある程度、理解しているつもりでしたが、当時は預託する厩舎とのコネクションもありませんでしたし、資金繰りについてはまったく見えていない状況で、仮にショートでもしてしまったら預託先の調教師に迷惑をかけてしまうという思いが先に立ってしまいました」

————思い切って決断できた理由はあったんですか?

「とても自分の力だけで、ここまで来られたわけではありません。やはり知り合いの馬主を中心とした多くの方々の協力に恵まれたことが大きかったと思います。現在、個人所有でシハツレッシャという馬を所有しており、名古屋で走らせているのですが、知り合いの馬主を通じて安く売っていただいたり、共有させていただいたりしたものです。これまでラッシュダンスや、共有でザイーダという馬を所有していました」

森内智也

名古屋のアイドル、木之前葵騎手との一枚。こうした騎手とや関係者との触れ合いが馬主としての醍醐味のひとつでもある。



馬主になってから“競馬”を一層楽しめるようになった



————個人所有ということは、それなりに資金を投資したと思いますが?

「収入自体は、大学時代の友人たちとあまり変わらないと思います。先ほども申し上げた通り、知り合いの馬主さんから安く譲り受けたり、共有する形を取ったりすることで、私の収入レベルでも安定して馬主をさせて頂いています。もちろん、もう少し資金に余裕が出てきたら、セリへの参加や各主催者が提供する抽選馬購入にも挑戦してみたいです」

————最後に、馬主になってよかったことは?

「やはり、今まで以上に競馬に対して視野が広がった点ですね。調教師や騎手はもちろん、新たに知り合うことができた馬主も増えましたし、とにかく人脈が広がりました。以前は、クラブの出資馬に対して「どうしてこういうレースを選んでいるのか」という疑問を抱いても、明確な答えを得る方法がなく、不満ばかり抱いていましたが、今はそういった疑問に対して理由をキチンと説明していただける機会がありますし、どういう結果であっても納得がいくようになりました。
 また仕事柄、これまでも競馬業界を取り巻く環境についての話をうかがう機会はあったのですが、さまざまな立場や角度から自分の考えを持てるようになり、より深く競馬に向き合えるようになったように感じます」


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森内智也

もりうち・ともや 1972年2月14日生まれ、東京都出身。1994年、立教大学経済学部経済学科卒業。学生時代から関わっていた競馬撮影業務をこなす一方で、大学卒業後は会計監査業を開始。2016年にNAR個人馬主資格を取得した。2017年、競走馬の所有、競走への出走等を目的とするインターフェース(合)を知人馬主と創設。2018年、NAR法人馬主資格を取得した。

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