◆春の中距離王者を決める一戦、本番の流れは速いだろう
GIに昇格したことで、以前のステップレースから中距離のタイトル戦になった大阪杯は、同じ二千米であっても、その意味が違う。恐らく、これまでとは異なるレース内容になっていくだろう。同じ阪神内回りであっても、これまではスローペースが多かったのが、これからは速くなるのではないか。
キタサンブラックが初代覇者になった昨年は、マルターズアポジーがつくった千米のラップタイムが59秒6だった。これをキタサンブラックは3番手で追っていたが、逃げたマルターズアポジーが12着、これを2番手で追っていたロードヴァンドールは殿に終っていた。キタサンブラックが如何に強かったか分かるが、今後の大阪杯を展望するとき、この第一回のGI戦こそ基本の姿と言えるだろう。GII時の大阪杯、例えば2016年の千米は61秒1、その前年も同じ61秒1、8頭立てでキズナが勝った2014年は60秒5とイーブンペースだったが、オルフェーヴルが勝ったときは61秒5とスローだった。
これから少しでも速くなるとなれば、考えられるのがスピードに加えてスタミナが問われるということ。GI戦にリニューアルされた二千米をどう戦うのか。前に行っても、好位につけてもきっちり脚を使えなければならない。その為の準備がどうであるか、前哨戦の意味が大きい。重要なステップレースとなった金鯱賞だが、昨年は1着のヤマカツエースが、本番でも3着に入っていたし、2着のステファノスは、金鯱賞はスローペースで追い込めず6着だったのが、本番ではペースが速く流れに乗れて走ることができていた。
二千米と言えば、弥生賞と皐月賞との関係が頭に浮かぶが、同じ中山の内回りであっても前哨戦はだいたいがスローペース、本番はそれよりペースが上がるのが通例だ。大阪杯の場合は、中京、京都、或いは中山とステップレースが異なるが、それでも春の中距離王者を決める一戦なので、本番の流れは速いだろう。それにもう一点、スタートして第一コーナーまでが短いので、外を回される恐れのある外枠より、少しでも内枠の方が有利だ。脚質、枠番、ペースと総合して判断するのだが、GI2年目の今年は、前哨戦の扱いが一段と複雑になっている。