◆あの馬の型破りなローテーションは実を結ぶか
「良馬場」が望める。先週からBコースに移って、日曜の3歳未勝利戦1600mで「1分34秒3(47秒2-47秒1)」の速いタイムが記録された。日曜メインのGI「大阪杯」2000mは前半スローだったとはいえ、後半の1000mは超高速の「57秒1-45秒3-34秒1」で決着している。速いタイムが出る芝である。
人気のラッキーライラック(父オルフェーヴル)が、外から被される形を嫌って少し積極的に出る可能性がある。1番人気の先行タイプが主導権を握る位置を占めてしまうと、競らないから「ペースは上がらない」ことが多いが、どんなペースになるのだろう。
種牡馬になったキタサンブラックは再三1枠で好走したが、桜花賞の1番は好枠とはいえない。1994年にオグリローマンが勝って以降、【0-0-1-22】であり、多頭数で外から被されてもまれることの多い内枠は、牝馬戦ではだいたいが有利ではない。この20年間、内の1〜5番枠の馬は、みんな合わせて【0-0-4-94】(取り消し2頭)という怖い記録がある。1頭も連対していないのである。
さすがにラッキーライラック(石橋脩騎手)はそんなことはないだろうが、前半は少し強気に出たほうがいい。被される心配がなくなると同時に、ラッキーライラックがさっと先行態勢に入ってしまうと流れは速くならない(可能性が非常に高くなる)。弱気に(大事に)乗るようだと、外の馬が気分よく先行する危険なパターンにはまりかねない。
3歳牝馬はみんなもまれる展開を嫌うが、うまく外を引いたアーモンドアイ(父ロードカナロア)に期待する。持ち味は追っての切れ味。2戦目の未勝利1600m(東京)はお決まりのスローでレース上がり「11秒7-11秒3-11秒4」=34秒4となったが、中位にいたアーモンドアイは上がり33秒5(推定11秒3-10秒8-11秒4)で馬なりのまま抜け出してみせた(ルメール騎手)。
今回と同じ3ヶ月ぶりで、初の関西遠征となった「シンザン記念1600m」は、やや重馬場とあって前半1000m通過61秒8のスローから、レースの上がりは尻上がりに速くなる「12秒1-11秒7-11秒5」=35秒3となった。後方に控えて進んだアーモンドアイ(戸崎騎手)は直線だけのスパートで、上がり34秒4(推定12秒1-11秒2-11秒1)を記録している。ほとんど馬なりで約2馬身近く抜け出してしまった。
相手のレベルが低かったのは否定できないが、休み明け、初コース、一気に格上がりの牡馬相手の重賞である。4着ファストアプローチ(札幌2歳Sを0秒0差2着)あたりが多少でも伸びていたなら、後半2ハロンは楽に10秒台だったと思えた。
アーモンドアイは、同じ国枝厩舎の3冠牝馬アパパネ(父キングカメハメハは、ロードカナロアの父でもある)とは大きく異なり、いきなり爆走して燃焼できるタイプ。そこで国枝調教師は、消耗を避けるためにこういう型破りのローテーションをとったと思えるが、1月に早々と関西遠征を済ませ、輸送競馬にまったく問題がないことを確かめたうえでのこの桜花賞挑戦が、再び実を結びそうに思える。
4戦4勝のラッキーライラックは文句なしに強いが、半分ベールに包まれている印象のあるアーモンドアイも、切れ味がフルに爆発するとき、互角かそれ以上の可能性があるだろう。