現在の最強形、キングカメハメハの牝馬にディープインパクト/皐月賞
◆少々の渋馬場ならこなせる底力のあるタイプ
雨は心配だが、低気圧の通過速度は速いとされるので、雨の影響はそうは大きくないとみて、予定通りワグネリアン(父ディープインパクト)中心。
弥生賞はダノンプレミアムに完敗だが、休み明けで直前にテンションが上がり、馬体重減。あまり褒められた状態ではなかった。勝負どころの反応は遅かったが、あの状態で0秒2差だけ。中山2000mを2分01秒2(上がり33秒7)なら上々。弥生賞をステップにしたローテーションは正解だったろう。
中山への輸送と、コースを経験でき、課題も分かった。今回はテンションを上げ過ぎないために、細心の注意を払うことができた。ふっくら見せる馬体から、体重減はないだろう。本番でのスパートもイメージできた。福永騎手はここまで皐月賞【0-4-2-10】。あと一歩のところで勝ち切れていないが、1番人気馬に騎乗したことはなく、2番人気馬には3回乗って【0-3-0-0】。人気を裏切って、2着4回ではないのである。
ディープインパクト産駒は、だいたいは中山の渋馬場は歓迎ではないが、ワグネリアンの牝系は典型的なアメリカ血筋で、それもタフなことでは定評のある種牡馬が配されている。祖母ブロードアピール(その父ブロードブラッシュ)は、ダートで上がり34秒台など平気。芝と同じくらいの鋭い切れを爆発させた。こういうパンチあふれるダート血統が、ディープインパクトと重なるとき、非力ではなく少々の渋馬場ならこなせる底力のあるタイプを出すのだろう。
スローだったとはいえ、ワグネリアンは2戦目の重馬場を上がり33秒0でまとめる快勝だった。このとき、後方から直線だけ差を詰めた伏兵が上がり32秒9だったので(勝ち負けとは関係なし)、4戦連続上がりNO.1ではないが、実質は、ここまですべて上がりNO.1としていい。
ペースは読みにくいが、スローのレースが連続するとはいえ、さすがに皐月賞がスローに陥ることはめったにない。ワグネリアンの追っての味がフルに生きるはずである。
怖い相手は、2歳戦が実施された1946年以降、2戦だけのキャリアで勝った馬はいないが、「新馬→すみれSの2連勝」は、日本のクラシックの歴史を変えたフサイチコンコルド(3戦目に日本ダービー制覇)とそっくり同じキタノコマンドール。配合形はワグネリアンと同じ「キングカメハメハの牝馬に、ディープインパクト」。現在の最強形である。
ミルコ・デムーロは短期免許時を合わせ皐月賞に9回しか乗っていないのに【4-2-0-3】。皐月賞4勝は史上最多勝利だからすごい。
もう1頭は、人気急落のグレイル(父ハーツクライ)。岩田騎手は最近のビッグレースでちょっと冴えないが、皐月賞は【2-1-2-6】。気楽な立場で突っ込んできそな気がする。グレイルのデキが悪いとはとても思えない。