◆桜花賞組とは全く異なるローテーションが実を結ぶか
本番オークスの過去10年の3着以内馬30頭のうち、「18頭」は桜花賞からの直行馬。だが、この2000mのトライアル組も、昨年のモズカッチャン「フローラS1着→本番2着」など「9頭」もいる。イメージ以上に活躍しているうえ、桜花賞組よりはるかに人気薄の馬が多いから、本番の伏兵になる。
桜花賞のアーモンドアイを筆頭に上位馬は強力だが、2400mの距離適性で好勝負に持ち込める候補を探したい。すでに2400mを2戦【1ー0ー1ー0】の星を残すサトノワルキューレ(父ディープインパクト)は、牝馬とすればきわめて珍しい距離選択のローテーションだが、これは角居勝彦調教師の、改めての挑戦と思える。08年、角居厩舎の牡馬マゼラン(父クロフネ。ディアデラノビアの半弟)が、ダービートライアルの青葉賞に出走したとき、マゼランはすでに2400mを2分25秒7(2月の東京)で勝っていた。
青葉賞の勝ち時計に相当する好タイムなので、当然、人気になったものの、早い時期に快時計で勝ってしまったためか、調子を落として凡走に終わっている。
マゼランの母ポトリザリスはアルゼンチン産で、本国とUAEで走っていたが、サトノワルキューレの母ヒアトゥウィンは、ブラジル産。USA、UAE、南アフリカで走って17戦5勝。南アフリカのGI競走を2勝しているタフな馬である。
オークスを展望しての早期の2400m挑戦は同じだが、スロー必至のあまり強力なメンバーになりそうもないレースを選び、前回は上がり34秒1の勝利。マゼランのときのような厳しいレースをしていないところが、サトノワルキューレのローテーション。勝ったあとはずっとプール調整を続けて、活力の消耗を避ける形を取っている。追い切りの動き、馬体を見ると、馬体重減はないように思える。
桜花賞組とはまったく逆の距離選択のローテーションで、今回は東京に遠征し、距離を少し短縮して2000m。ここでオークスの出走権が確保できると、10年前のマゼランでは結果として実を結ばなかった、早期に2400mに出走して、クラシックに挑戦する手法が、成功する可能性が生じるかもしれないのである。
桜花賞組のレベルは高いが、2400mなら互角の勝負になりそうな馬の台頭に期待したい。
デキの上がっているサラキア(母はドイツオークス馬)が本線。穴馬は、東京向きのファストライフ(父スーパーホーネット)。