混戦ムードで地方勢優勢!?
さあゴールデンウイークです! 全国各地で好カードの重賞が行われるこの期間、まさに「競馬が、濃い。地方競馬」。お休みを利用して現地観戦をする方も多いのではないでしょうか。ゴールデンウイークのダートグレード競走1戦目は4月30日(振月)に名古屋競馬場で行われる『第20回かきつばた記念(JpnIII)』。
昨年からハンデ戦となった1400m戦。現在、ダート短距離路線は絶対的王者不在で、レースごとに勝ち馬が変わる混戦模様。かきつばた記念も上位争い可能な有力馬がJRA・地方ともに揃って引き続き混戦ムードですが、今回はダートグレード競走での経験値を考えると地方勢優勢と言えそう。まず見どころある顔ぶれが揃った地方馬たちからご紹介します。
トウケイタイガー、昨年同様JRA勢を封じ込めるか
連覇を狙う兵庫のトウケイタイガー。昨年は52kgの軽量(2番人気)で、逃げてそのまま後続を封じ4馬身差の完勝でダートグレード競走初制覇を果たしました。2走前、12月の兵庫ゴールドトロフィーでは秋の連戦の疲れもあったのか控える競馬で9着に敗れましたが、その後休養を取り、復帰戦となった前走・園田のレースを本来の逃げで快勝。直線は持ったままの余裕があり、連覇に向けて視界良好。今年は負担重量54kg、引き続き川原正一騎手とのコンビで、昨年同様JRA勢を封じ込めることができるでしょうか。
川原正一騎手とのコンビで連覇を狙うトウケイタイガー(写真は17年かきつばた記念優勝時、撮影:高橋正和)
兵庫から参戦のもう1頭、黒船賞で大金星を挙げたエイシンヴァラーにも大注目。当日は雨・不良馬場の中、グレイスフルリープがハイペースで逃げ、縦長の展開に。エイシンヴァラーは有力馬たちより前でレースを進めると3コーナーで早めに動き、グレイスフルリープをとらえます。直線では内を突いたブルドッグボス、さらに内から伸びたキングズガードに一旦は抜かれてしまいますが、ゴール前でじわじわと再び伸びて2頭を差し返しての勝利。勝負根性のある強さを見せてくれました。人気の盲点となっていましたが、JRA時代にオープン勝ち(2017年1月・中山・ジャニュアリーS)があり、11月の笠松グランプリではラブバレットの2着。展開に恵まれた勝利ではなく、そのレースぶりから地方競馬のダートグレード競走への適性の高さを感じることができます。
黒船賞で大金星を挙げたエイシンヴァラーにも大注目(写真は18年黒船賞優勝時、写真提供:高知県競馬組合)
父サウスヴィグラスは2002年の覇者。2015年のコーリンベリーに続く父子制覇なるか? さらに管理する新子雅司調教師は2014年にタガノジンガロでこのレースを制しており、ここで勝てば4年ぶり2回目の勝利。様々な縁が繋がるかきつばた記念での好走に期待が集まります。
近走は道悪に泣いている浦和のブルドッグボス。3着に敗れた黒船賞も、1番人気で5着だった東京スプリントも不良馬場での競馬で、ぜひ良馬場でリベンジしたいところ。かきつばた記念は一昨年JRA時代にノボバカラの2着がありますが、当時の負担重量は54kg。その後の活躍、実力、実績から今回は57.5kgを背負うことに。ちなみに昨年7月の習志野きらっとスプリントは58kgで3着。果たして今回は!? 東京スプリントから中11日での出走に、巻き返しを図りたい陣営の意気込みが感じられます。
57.5kgの斤量が鍵となりそうなブルドッグボス(写真は17年クラスターC優勝時、写真提供:岩手県競馬組合)
忘れてはいけない地元名古屋のトップホース・カツゲキキトキト。これまで長距離重賞でJRA勢を相手に上位争いを繰り広げてきましたが、1400mのダートグレード競走は初参戦。とはいえ地元戦では7勝を挙げている名古屋の1400m。登録のあったオグリキャップ記念(2500m・昨年1着)ではなくこちらを選んでの出走。53kgの軽量を活かしての激走に期待します。
地元馬の意地を見せたいカツゲキキトキト(写真は18年東海桜花賞優勝時、撮影:下野雄規)
最軽量51kgは4歳牝馬ポルタディソーニ。昨年9月の地元重賞・秋の鞍を制し、宮下瞳騎手に復帰後初の重賞制覇をプレゼントしました。さらに2月の梅見月杯も勝利。前走・東海桜花賞はカツゲキキトキトの2着。ダートグレード競走初参戦ですが、宮下瞳騎手とともに注目の牝馬です。
鞍上の宮下瞳騎手とともに注目のポルタディソーニ(写真は17年秋の鞍優勝時、撮影:稲葉訓也)
対するJRA勢は5頭。キングズガードは昨年7月のプロキオンS(中京・1400m)で重賞初制覇、盛岡のJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯3着もある今回のJRA勢の中心馬。前走・黒船賞は出遅れから最後追い込んでの2着。コース取り次第では勝利もあったと思える悔しい結果(黒船賞は2年連続2着)でリベンジしたい戦い。負担重量はトップハンデ58kg。昨年トップハンデだったレーザーバレットは58kgで6着に敗れていて、キングズガードもその克服が鍵となります。
重賞2勝目を狙うキングズガード(写真は17年プロキオンS優勝時、(c)netkeiba.com)
サクセスエナジーは地方競馬もダートグレード競走も初めて。500万下、1000万下、1600万下を3連勝してオープン入り。続く前走・コーラルS(阪神・1400m・OP)は1番人気に推されるもモーニンの6着。勢いのある4歳馬の成長力に注目。
初の地方競馬参戦となるサクセスエナジー(写真は17年春待月賞優勝時、(c)netkeiba.com)
同じく4歳のローズプリンスダム。昨年5月の鳳雛S(京都・1800m・OP)を勝ってジャパンダートダービーに出走した素質馬(JDDは8着)。続く8月のレパードS(新潟・1800m)で重賞初制覇。1400mに実績が無いのが気になるところですが、テイエムジンソクやゴールドドリームなど一線級と戦ってきたことを考えると面白い存在です。
ジャパンダートダービーにも出走した素質馬ローズプリンスダム(写真は17年レパードS優勝時、撮影:下野雄規)
9歳の古豪サンライズメジャー。芝のオープン馬で数々の重賞に出走しているもののタイトルには手が届かず。今回初めてのダート挑戦で、地方競馬も初めて。未知の領域で果たして変わり身があるのでしょうか。
今回が初のダート出走となるサンライズメジャー(写真は15年キャピタルS優勝時、撮影:下野雄規)
コパノチャーリーはご存知コパノリッキーの半弟。昨年8月の阿蘇S(小倉・1700m・OP)でオープン勝ち。前々でレースができれば好走可能で、今回1枠1番に入ったのは好材料。コンビ2度目の佐藤友則騎手と逃げの戦法に出るのか?血統的にも一発がありそうな怖い存在。
GI/JpnI・11勝コパノリッキーの半弟コパノチャーリー(写真は17年阿蘇S優勝時、(c)netkeiba.com)
今回のJRA勢で重賞勝ちがあるのはキングズガードとローズプリンスダムの2頭のみ。対して地方勢は昨年の勝ち馬トウケイタイガー、黒船賞を勝ったエイシンヴァラー、クラスターCを勝ったブルドッグボスとダートグレード競走ウイナーが3頭。負担重量は51kgから58kgで最大7kg差。ハンデ差を活かし軽量馬が台頭するのか?重量を克服して実力馬が勝利するのか?混戦に拍車をかけるハンデ重賞は見どころ満載です。
ゴールデンウイークのダートグレード競走はかきつばた記念を皮切りに、5月2日は船橋のかしわ記念(JpnI)、3日は園田の兵庫チャンピオンシップ(JpnII)と3つの競走が行われます。ゴールデンウイーク恒例となった豪華3重賞。引き続きお楽しみください!
※次回の更新は5月1日(火)18時。翌日に船橋競馬場で行われる「かしわ記念」のコラムをお届けします。
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中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。