父方からスピード、母方からスタミナを受け継いで/NHKマイルC
◆夏のアスコットは、父に代わって勝たなければならない
再三、大きな波乱が飛び出す最大の原因は、みんなまだキャリアが浅く、素質はあっても厳しい東京のマイル戦で全能力発揮とはいかないため。
今年の場合も東京の1600mで勝ち星を記録しているのは、テトラドラクマ、プリモシーン、デルタバローズのわずか3頭しかいない。また、ちょうど半数の9頭が初コースであり、なおかつマイル戦に連対記録のない馬が8頭もいる。この中に総合力を備え、やがてマイルのエース級に育つ馬がいるはずだが、手探りの部分が大きい馬が多いのである。
過去22回、少ない成績をベースに1番人気に支持された馬は【10-1-2-9】である。連対率.500はまあふつうの数字だが、勝率.454は難しいレースであることを考えると、素晴らしく高い。
つまり、人気の中心馬はふつうのレース以上に非常に高い勝率を誇るが、2着、3着にがんばることはめったになく、順当に勝つか、逆に半数近くは馬群に沈む極端なレースということか。いかにも、キャリアの浅い3歳戦にありそうなパターンであり、今年は、タワーオブロンドンが最終的にも1番人気確実。タワーオブロンドンの信頼度大と考えるなら、素直に頭から入る手が成立する。しかし、怪しい人気馬とみるなら、中途半端に評価せず、ばっさり切ることによって、再三飛び出す高配当に結びつけなければならないレースなのだろう。
身も蓋もないようだが、タワーオブロンドンの信頼度は高いと考えた。総合力の問われる阪神の1600mで2回も好走している。朝日杯FSはダノンプレミアムの3着にとどまったが、アーリントンCでは1分33秒4にまで時計を短縮し、レースレコードだった。
東京のマイルは経験していないが、1400mでは1分21秒9(上がり33秒2)で楽勝している。
父レイヴンズパス(ゴーンウェスト系)は、欧州のマイルを中心に好走しただけでなく、米サンタアニタのAW10ハロンのBCクラシックを、1分59秒27のレコードで勝っている。
母方は、日本でも人気の高い世界のマルガレーゼンのファミリー。トリプティク、トレヴ、ジェネラス、皐月賞のディーマジェスティなどで知られ、スタミナ能力のある産駒が並んでいる。
ゴドルフィンの名義を名乗れるようになったので、夏のアスコットのセントジェームズパレスS(父レイヴンズパスが、宿敵ヘンリーザナヴィゲーターに英2000ギニーに続き連敗したレース)にエントリーしたと言われる。単なる英国遠征ではなく、父に代わって勝たなければならないレースなのである。
タワーオブロンドンから、アーリントンCで好走しているレッドヴェイロン、パクスアメリカーナを主力に流したい。