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皆さんはどちら派?/オークス

  • 2018年05月15日(火) 12時00分


◆「楽しく迷う」「迷う過程を楽しむ」ことが大事?

 最初に断っておくが、今回の原稿は結論が無い話なのでそのつもりで。

 今週のオークスで皆さんが悩むのは、アーモンドアイが2400mでも強いのか? という点だろう。ロードカナロア産駒だけに。「ルメールが三冠取れると言ってるんだから大丈夫」という人もいれば、ロードカナロアの距離別成績を持ち出して不安という人もいる。

 正解は日曜に分かってどちらかがどちらかをネットで(netkeibaの掲示板でも……)不毛に攻撃するようなことになるのだろうが(笑)、競馬を楽しめる人というのは結局、想像力のある人、そして「競馬はわからないことだらけ」と割り切って楽しめる人なのではないかと思う。常に正解だけ見極めつづけた人というのは人類史上出ていないのだから。

 私はどちらかというと距離不安派(同馬が2着以下なら配当も伸びるし)なのだが、単純にロードカナロア産駒ゆえの距離限界を主張しようとも思わない。ちなみにここまでのロードカナロア産駒、芝における距離別成績は、

データ

 で、数字だけ見れば距離不安ということになる。ただここで気をつけなくてはならないのが、おそらく1600m以下と2000m以上では出走馬の能力ベースが違うということだ。ロードカナロア産駒なのに2000mを使おうというのはそもそも足が遅いからという面もあるわけで、そこを加味しないと距離不安を意識しすぎることになる。一方で、だからといって距離をこなせる根拠もここにはないわけで、だからこそ悩ましいわけである。

 ちなみに昨年の赤本(POGの達人)で国枝師は、「気性的にマイルまではこなせそう」とこの馬を評している。「ほら! 距離不安だ!」となりそうだが、2015年の赤本で友道師は後にダービーを勝つマカヒキのことを「気性や血統から距離はマイルくらいかな」と語っていた。良いほうの想定外もあるわけだ。馬を扱うプロ中のプロでも馬のことは最後まで分からないもの。ファンは「楽しく迷う」「迷う過程を楽しむ」ということが大事なのではないだろうか。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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