▲ netkeiba Books+ から小島太がジャッジ!勝てるPOGベスト100の1章をお届けいたします。
自分の思った結果にならないのが競馬。馬券しかり、POGしかり。とくに2歳馬の将来性を見抜く目が試されるPOGは、馬体と血統しか判断材料がなく、長年POGをやっているファンでも、GI馬を引き当てるのは相当な困難だ。そんな海千山千の2歳馬たちを、半世紀以上競馬を見続けてきた小島太が冷静な目でジャッジ!
本命から大穴まで、今年のPOGで“勝てる”100頭を紹介する。 (文:小島太)
第1章 馬見のスペシャリストが厳選した100頭を鋭く斬る!
「どうせ写真を持ってきた100頭は、クラシック路線に乗せなきゃいけない高馬だろう?」
朝から雨が降る3歳クラシックシーズン真っ只中の春の日。そう言って、悪戯っぽい笑みを浮かべて我々を出迎えてくれた小島太。カバンのなかには、セレクトセールで何億円という値がついた良血馬の写真たち。今か今かと自分たちが取り出され、師の前に並べられるのを、息を潜めて待っていたのである。
「走る馬を見抜く能力を持っていたら、その眼を現役(調教師)時代に使っているよ。このあいだ引退したばっかりだよ。もっと気楽に競馬を見させてくれよ(笑)」
1947年、北海道斜里郡小清水町で生まれ。1966年に騎手としてデビューすると、72年には弱冠25歳で関東リーディングになった。オールドファンが、そんな師に持っているイメージは、勝負師として常に勝ちにこだわる姿勢だろう。78年サクラショウリ、88年サクラチヨノオーと2回のダービー制覇を筆頭に、とにかく大舞台に強かった印象がある。
POG、ゲームだからとはいえ適当に馬は見られない。勝負の世界に長年身を投じてきた男だからこそ、そういう想いが強いのだろう。
そして調教師としても、3歳馬を3頭G1ホースへと育てあげている。イーグルカフェとマンハッタンカフェ。とくにイーグルカフェは早い段階から活躍し、3歳春に共同通信杯、NHKマイルCを制覇。POGファンからすれば、ぜひ指名したかった1頭だ。
「イーグルカフェは、試し試しにいろいろ使っていったんだ。あの当時のアメリカ産は、なかなか当たらないのが定説。G1という大きな勲章を手に入れようというわけではなく、できるだけリスクが少ない、勝つ確率が高いレースを探したら勝っちゃったということ。その後、5歳になったときJCダートを勝つでしょ。特化した条件下にマッチする馬を探したというより、どんな条件下でも安定して結果を残す馬を探した。それが証拠。もちろん良い馬だったけど、NHKマイルCまでは考えていなかったよ」
('00共同通信杯 イーグルカフェ / 下野雄規)
取材中、師が数多く口にしたのは“G1は狙って勝てない”ということ。とくに近年では調教技術が上がって、各馬の差がつきにくくなった。
「昔は“調子が良い”や“脚元がしっかりしている”と、それだけでソコソコ勝つことができた。欠点のない馬なんていかなったし、順調に来ている馬なんて奇跡に近かったよ。それが今は、調教で補えるようになった。例えば、腰の甘い馬は昔だったらどうすることもできない。ダートで負担かけない、軽めの調教を繰り返すだけ。だけど今ならチップはある、坂路もある。壊さずに、しっかりと作りこむことができるんだ。俺が乗っていたサクラバクシンオーなんて、10年早く生まれていたら絶対に活躍できなかったよ。化骨も遅れていたし、レントゲンを見てもデビューできないという判断だったから」
不安な部位を見つけても、それを覆い潰すくらいの競走能力があれば、フォローできる時代になったのだ。そうなれば必然的に良血馬の活躍する確率は上がってくる。
「俺は、何クソ!という気持ちで戦ってきたタイプの人間だから、本来は良血馬が好きじゃないんだよ。日本人には本当は、そういう競馬が合っているとは思うよ。天皇賞だって、ナカヤマフェスタの仔(ガンコ)を応援しちゃったよ(笑)」
だから、こんな良血馬ばかり見せられても褒めることしかできないと話す。ただ、そのなかでも、ひと際輝く才能を見つけ出してくれれば、我々としては感謝しかない。
それでは、ここからは1頭、1頭個別に見ていただこう。
(続きは
『netkeiba Books+』 で)
- 小島太がジャッジ!勝てるPOGベスト100
- 第1章 馬見のスペシャリストが厳選した100頭を鋭く斬る!
- 第2章 ディープインパクト産駒編 Part1
- 第3章 ディープインパクト産駒編 Part2
- 第4章 オルフェーヴル&ジャスタウェイ産駒編
- 第5章 ロードカナロア産駒編
- 第6章 キングカメハメハ産駒編
- 第7章 ハーツクライ&ルーラーシップ産駒編
- 第8章 その他の産駒編